お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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063 : 声にならない

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「いろいろとどうもありがとうございました。」

マーフィは、本当に嬉しそうだ。
私達が食事に行ってる間に、カトリーヌは違う部屋に移されていた。
今までより広く、明るい陽射しの入る病室だ。
どうやら、クロワ達が取り計らってくれたみたいだ。



「とりあえず、宿に行きましょうか?
昨夜はろくに寝てないんでしょう?」

「いえ、僕はここにいます。」

無理に言ってもマーフィは聞かないだろうし、この部屋には長椅子もある。
疲れたら、そこで横になれば良い。
それに、マーフィだって、カトリーヌと二人っきりになりたいかもしれない。
たとえ、それが、意識のない彼女だとしても。



「じゃあ、しばらく休んだらまた来るからな。」

私達は、病室にマーフィを残し、宿に向かった。







「それにしても驚いたな。
まさか、カトリーヌが生きていたとは。」

「あぁ、本当に驚いたぜ。」

「今までの夢とは何か違ったのか?」

「いや、特に違ったところはなかったように思う。
だから、まさか生きてるカトリーヌに会えるなんて思わなかった。」

リュックは晴れやかな顔でそう言った。



「……そうだな。」




私の心の中には一抹の不安があった。



リュックの夢は、いつも死者からのメッセージのようなものだった。
今回、カトリーヌは生きていたが…憔悴しきったマーフィを励ましたくてあんなことを言ってしまったが…
もしかしたら、カトリーヌもやがて死んでしまうのではないか、と。



だとしたら、私やリュックは、マーフィにぬか喜びをさせただけだ。



いや…それでも、リュックなら、意味のあることだと言うだろう。
でも、本当にそうだろうか?
僅かな間でも、会えたのは幸せなのだろうか?
会えなければ、少なくとも辛い想いはしなくてすんだのかもしれないのに。



「マルタン…どうかしたのか?」

「え?いや…なんでもない。
リュック、しばらく休んだらマーフィのところに行こう。」

「そうだな。」

私達は仮眠をとることにした。
リュックは横になるとすぐに寝息を立て始めたが、私はなかなか眠ることが出来なかった。
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