お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
341 / 389
060 : 手繰りよせたなら

しおりを挟む
「サイモン……
好きなタイプなんてものは簡単に変わる。
しかも、エヴァが結婚したのは十七の時だというじゃないか。
 十七といえば、まだ思春期だ。
 彼女はそれからいろいろと苦労をし、そして年月を重ねて来た。
 今の彼女の好きなタイプは、昔とは変わっていると思うし……正直言って、君はきっと今の彼女の好きなタイプだと思う。」

 「そんなお世辞は良いよ。
わかってるんだ…俺みたいなの、エヴァが好きなわけがない。
 彼女が好きなのは、遊び上手で垢抜けた都会的な男だ。
 俺とはまるで違う…」

 「いや、お世辞なんかじゃない。
 君はなんとなくリュックと近いタイプだと思わないか?」

 「え…?
あぁ、確かに言われてみりゃあそうだな。」

サイモンは、リュックの顔を見ながら頷く。



 「リュックは、エヴァに好きだと告白された。
それだけじゃないぞ。
 彼女はリュックと結婚したいとまで考えていたようだ。」

 「マ、マルタン!何を言い出すんだ!
サ、サイモン!それはな、俺のことが好きとかそんなんじゃないぞ。
 俺が、ディヴィッドのことを可愛がって、デイヴィッドも俺に懐いてたからそれで都合が良いと思われただけで……」

 「そ、それで、あんた…エヴァと一緒になるのか!?」

リュックとサイモンの慌てぶりに、私は噴き出しそうになるのを懸命に堪えた。



 「サイモン、残念ながらリュックには心に決めた許婚がいるんだ。
だから、彼ははっきりと断った。
チャンスの神様は、きっと君に前髪を差し出しているんだと思う。
ここで掴み損ねたら、次のチャンスがあるかどうかわからないぞ。」

 「そ、そうだったのか……」

サイモンは、噴き出す汗を拭き、グラスの水をごくごくと飲み干した。



 「……うん、そうだな。
 結果がどうあれ、一度くらいは俺も想いを伝えなきゃな…!
ありがとう、マルタン!
 俺、なんとなく勇気がわいてきたよ!」

サイモンは私の手を力強く握り締め、リュックは決まりの悪い顔をしながら私のことをみつめていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!

十夜海
ファンタジー
母一人、子一人。 天涯孤独でたった二人の家族。 でも、高校の入学式へ向かう途中に居眠り運転のダンプカーに突っ込まれて二人仲良く死亡……。 私はどーでもいい、だって娘まで生まれた。でも、娘はまだ16歳なりかけ。なんで?なんで死ななきゃならない。 厳しい受験を乗り越えて、ようやくキャピキャピ楽しい高校生活だ。彼氏だってできるかもしれない。 頑張ったのに。私だって大学までやるために身を粉にして頑張ったのだ。 大学どころか、高校生活までできないなんて! ひどい。 願ったのは、娘の幸せと恋愛! 気づけば異世界に……。 生きてる?やったね! ん?でも高校ないじゃん! え?魔法?あ、使える。 あれ?私がちっさい? あれ?私……若い??? あれぇ? なんとか娘を幸せな玉の輿に乗せるために頑張る母。 そんな母娘の異世界生活。 でも……おかしいな?なんで私が子供なんですか? ##R18で『なろう』で投稿中です。 ラブ少なめなので、R15でファンタジー系で手直ししつつ、こちらに投稿させていただきます。

妾の子だった転生勇者~魔力ゼロだと冷遇され悪役貴族の兄弟から虐められたので前世の知識を活かして努力していたら、回復魔術がぶっ壊れ性能になった

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
◆2024/05/31   HOTランキングで2位 ファンタジーランキング4位になりました! 第四回ファンタジーカップで21位になりました。皆様の応援のおかげです!ありがとうございます!! 『公爵の子供なのに魔力なし』 『正妻や兄弟姉妹からも虐められる出来損ない』 『公爵になれない無能』 公爵と平民の間に生まれた主人公は、魔力がゼロだからという理由で無能と呼ばれ冷遇される。 だが実は子供の中身は転生者それもこの世界を救った勇者であり、自分と母親の身を守るために、主人公は魔法と剣術を極めることに。 『魔力ゼロのハズなのになぜ魔法を!?』 『ただの剣で魔法を斬っただと!?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ……?』 『あいつを無能と呼んだ奴の目は節穴か?』 やがて周囲を畏怖させるほどの貴公子として成長していく……元勇者の物語。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

悪役令嬢に転生したら、勇者に師匠扱いされました(;゜∇゜)

はなまる
ファンタジー
乙女ゲームに転生した私。 しかも悪役令嬢らしい。 だけど、ゲーム通りに進める必要はないよね。 ヒロインはとってもいい子で友達になったし、攻略対象も眺め放題。 最高でした。 ...... 勇者候補の一人から師匠扱いされるまでは。 最初は剣と魔法のファンタジー。 少しずつ恋愛要素が入ってくる予定です。

異世界3姉妹の日常と冒険物語

き・そ・あ
ファンタジー
普通の女子高生がとある事情で異世界へ。異世界での妹、現実世界の妹、異世界で出来た友人たち。 神の持つ武器、魔剣、最大級の魔力をもつ妹に振り回されながら生活します。次女は性格に難があったり、破壊的な三女に振り回されながらも、亡き前領主の代わりに領地を守ったり、こっそり冒険に言ったりと、日常的な部分から、冒険まで様々です。少しづつ3姉妹も成長していくようにしたいので、ゆっくりと考え方に変化が生まれたり、周りの人間に感化されたりしていきます。細かなところでは短編でお祭りなどのイベントでなにかあったりします。 最初は街のそばだけでも、次第に近隣の国家、果てには精霊界などにも行けるようになり、お宝探し、ダンジョン攻略、剣や魔法が使えるようになります。恋愛要素は、あまり含んでいないです。女の子が3人主人公ですが、さほどエロは含まれません。 一気に見せ場がきたり、いきなり派手な魔法が使えないため、進行が遅いです。(特に1章) 中世、西洋が基本の舞台です。 王宮に仕える魔法使い、騎士、薬剤師などが存在する世界。科学、というのは少ないです。 科学よりも魔法が進んだ世界を舞台に描いていきます。 普通の女の子たちなので、魔法の説明(3章)などは、その場面が来ないと書かれません。 成長する3姉妹を一緒に見守ってくださるとありがたいです。 ※ 毎月1日、15日の更新を頑張っています。遅くなることもあるかもしれませんが、暖かく見守ってくださいm(_ _)m 立ち止まってくださったみなさん、ありがとうございます。少しでも気になったら、ぜひまた来てくださいね! 一言でも感想や、こうしたらいいかも。的なものをいただけると喜びます(▽・w・▽)

【完結】婚約者様の仰られる通りの素晴らしい女性になるため、日々、精進しております!

つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のバーバラは幼くして、名門侯爵家の若君と婚約をする。 両家の顔合わせで、バーバラは婚約者に罵倒されてしまう。 どうやら婚約者はバーバラのふくよかな体形(デブ)がお気に召さなかったようだ。 父親である侯爵による「愛の鞭」にも屈しないほどに。 文句をいう婚約者は大変な美少年だ。バーバラも相手の美貌をみて頷けるものがあった。 両親は、この婚約(クソガキ)に難色を示すも、婚約は続行されることに。 帰りの馬車のなかで婚約者を罵りまくる両親。 それでも婚約を辞めることは出来ない。 なにやら複雑な理由がある模様。 幼過ぎる娘に、婚約の何たるかを話すことはないものの、バーバラは察するところがあった。 回避できないのならば、とバーバラは一大決心する。 食べることが大好きな少女は過酷なダイエットで僅か一年でスリム体形を手に入れた。 婚約者は、更なる試練ともいえることを言い放つも、未来の旦那様のため、引いては伯爵家のためにと、バーバラの奮闘が始まった。 連載開始しました。

全て失う悲劇の悪役による未来改変

近藤玲司
ファンタジー
変更前の名前 【すべてを失ってしまう悲劇の悪役になったが、己の力で家族やヒロインを助け、未来を変える】 ある事が原因で小説の世界に転生してしまった主人公 しかし転生先は自分が大好きだったとある小説の悪役 アクセル・アンドレ・レステンクールだった…! そんな主人公はアクセルの末路を知っていた。家族は襲われ、姉は毒殺、妹は誘拐され、やがて全てが失っていく。そんなアクセルは人間が憎くなり、後の魔王幹部になったが、周りの部下や仲間達にも裏切られ彼は孤独の中で死んでいく。 「俺は…こいつを、こいつらの家族を救いたいだけだ…それに立ち塞がるのならどんな手を使っても蹂躙してやるよ」 彼のことを救いたいと思った主人公はアクセルの家族、ヒロインを救うためチートと呼ばれてもおかしくない狂気な力を使い、救い、そして彼自信が最凶になっていく…。 これはそんな悲劇の悪役が自分の、そして大切な人たちの未来を変えるために奮闘していく話である。 また各ヒロインとの面白おかしい日常物語でもある。

黒のシャンタル 第二話 「新しい嵐の中へ」<完結>

小椋夏己
ファンタジー
 八年前、嵐によって不思議な運命に巻き込まれたトーヤは今、仲間のアランとベルの兄妹に全てを語り終えた。  「俺とシャンタルはこの町から東へ、シャンタリオへ行く。おまえらもどうするかよく考えろ」  そう言って、2人の仲間に自分たちの道を選べと告げた。  アランとベルの選択は、そしてもう一度見えない未来に向かって進むために東へ、不思議な国へ戻るトーヤとシャンタルの運命は……  「黒のシャンタル 第一部 過去への旅」の続編です、舞台は八年後のシャンタリオへと移ります。初めての方はぜひ第一部からお読みください。  2021年5月20日(木)に無事第一部「過去への旅」を完結いたしました。  2022年1月23日(日)に無事第二部「新しい嵐の中へ」を完結いたしました。  第三部を現在毎日更新中です、引き続きよろしくお願いいたします。  三年前のトーヤたち4人の出会いを描いたベルが主人公の外伝「銀色の魔法使い」も30話完結で公開しています。  第二部のお正月用として書いた3話のよもやま話的短編「青い小鳥」も3話完結で公開しています。  どちらも合わせてどうぞよろしくお願いいたします。  ぜひとも感想、評価やブックマークをお願いいたします。  誤字報告などもいただけるととても励みになります、喜んでやる気が出ます。  どうぞよろしくお願いいたします。  時々「リメイク」と称して書き直しがあります。 注1:ほとんど過激な表現はないと思いますがそれなりに衝撃を受ける方もいらっしゃるかも知れませんのでR15とさせていただきました。 注2:「登場人物紹介」は章が進むとネタバレが含まれる可能性があります。ネタバレ嫌!な方は飛ばして本文を読んでください。 注3:平日2回、土日・休日は1回更新予定。時間は色々になると思います。 注4:しばらくの間平日も1回更新になります、申し訳ありません。 ※更新報告などがあります、活動報告も御覧ください。 ※「小説家になろう」「カクヨミ」「novelabo」「アルファポリス」で第三部を毎日連載中 ※「エブリスタ」「ノベルアップ+」「待ラノ」で時間差連載中

処理中です...