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060 : 手繰りよせたなら
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「サイモン……
好きなタイプなんてものは簡単に変わる。
しかも、エヴァが結婚したのは十七の時だというじゃないか。
十七といえば、まだ思春期だ。
彼女はそれからいろいろと苦労をし、そして年月を重ねて来た。
今の彼女の好きなタイプは、昔とは変わっていると思うし……正直言って、君はきっと今の彼女の好きなタイプだと思う。」
「そんなお世辞は良いよ。
わかってるんだ…俺みたいなの、エヴァが好きなわけがない。
彼女が好きなのは、遊び上手で垢抜けた都会的な男だ。
俺とはまるで違う…」
「いや、お世辞なんかじゃない。
君はなんとなくリュックと近いタイプだと思わないか?」
「え…?
あぁ、確かに言われてみりゃあそうだな。」
サイモンは、リュックの顔を見ながら頷く。
「リュックは、エヴァに好きだと告白された。
それだけじゃないぞ。
彼女はリュックと結婚したいとまで考えていたようだ。」
「マ、マルタン!何を言い出すんだ!
サ、サイモン!それはな、俺のことが好きとかそんなんじゃないぞ。
俺が、ディヴィッドのことを可愛がって、デイヴィッドも俺に懐いてたからそれで都合が良いと思われただけで……」
「そ、それで、あんた…エヴァと一緒になるのか!?」
リュックとサイモンの慌てぶりに、私は噴き出しそうになるのを懸命に堪えた。
「サイモン、残念ながらリュックには心に決めた許婚がいるんだ。
だから、彼ははっきりと断った。
チャンスの神様は、きっと君に前髪を差し出しているんだと思う。
ここで掴み損ねたら、次のチャンスがあるかどうかわからないぞ。」
「そ、そうだったのか……」
サイモンは、噴き出す汗を拭き、グラスの水をごくごくと飲み干した。
「……うん、そうだな。
結果がどうあれ、一度くらいは俺も想いを伝えなきゃな…!
ありがとう、マルタン!
俺、なんとなく勇気がわいてきたよ!」
サイモンは私の手を力強く握り締め、リュックは決まりの悪い顔をしながら私のことをみつめていた。
好きなタイプなんてものは簡単に変わる。
しかも、エヴァが結婚したのは十七の時だというじゃないか。
十七といえば、まだ思春期だ。
彼女はそれからいろいろと苦労をし、そして年月を重ねて来た。
今の彼女の好きなタイプは、昔とは変わっていると思うし……正直言って、君はきっと今の彼女の好きなタイプだと思う。」
「そんなお世辞は良いよ。
わかってるんだ…俺みたいなの、エヴァが好きなわけがない。
彼女が好きなのは、遊び上手で垢抜けた都会的な男だ。
俺とはまるで違う…」
「いや、お世辞なんかじゃない。
君はなんとなくリュックと近いタイプだと思わないか?」
「え…?
あぁ、確かに言われてみりゃあそうだな。」
サイモンは、リュックの顔を見ながら頷く。
「リュックは、エヴァに好きだと告白された。
それだけじゃないぞ。
彼女はリュックと結婚したいとまで考えていたようだ。」
「マ、マルタン!何を言い出すんだ!
サ、サイモン!それはな、俺のことが好きとかそんなんじゃないぞ。
俺が、ディヴィッドのことを可愛がって、デイヴィッドも俺に懐いてたからそれで都合が良いと思われただけで……」
「そ、それで、あんた…エヴァと一緒になるのか!?」
リュックとサイモンの慌てぶりに、私は噴き出しそうになるのを懸命に堪えた。
「サイモン、残念ながらリュックには心に決めた許婚がいるんだ。
だから、彼ははっきりと断った。
チャンスの神様は、きっと君に前髪を差し出しているんだと思う。
ここで掴み損ねたら、次のチャンスがあるかどうかわからないぞ。」
「そ、そうだったのか……」
サイモンは、噴き出す汗を拭き、グラスの水をごくごくと飲み干した。
「……うん、そうだな。
結果がどうあれ、一度くらいは俺も想いを伝えなきゃな…!
ありがとう、マルタン!
俺、なんとなく勇気がわいてきたよ!」
サイモンは私の手を力強く握り締め、リュックは決まりの悪い顔をしながら私のことをみつめていた。
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