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059 : 野辺の送り
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「ほ、本当なの!?
本当に、この人がおばあちゃん…?」
リータの作ってくれた料理に舌鼓を打ち始めて程なくして、リュックは唐突にリータの正体をディヴィッドに話した。
まさか、こんなに早く打ち明けるとは思っていなかっただけに、私は心配でディヴィッドの顔ばかりをみつめていた。
「あぁ、本当だ。」
「で、でも……この人は全然おばあちゃんじゃないよ。
髪も白くないし、腰も曲がってないし……」
その言葉に、サイモンは大きな口を開けて笑い声を上げる。
「ディヴィッド、おまえ、本当に面白いことを言うんだな。
確かに、おばさんは若いから、おまえが不思議に思うのも当然だ。
う~ん…わかりやすくいうとだな、この人はおまえのお母さんのお母さんなんだ。
だから、おまえから見たらおばあちゃんだけど、見た目にはおばあちゃんじゃないよな。」
ディヴィッドはサイモンの説明に、戸惑ったような顔で小首を傾げる。
今の説明ではディヴィッドが混乱するのも無理はない。
確かにリータは、エヴァのような娘がいるとは思えない若さを保っている。
何も知らなければ、私と同じくらいの年齢だと感じてしまう程だ。
だが、エヴァの年を考えれば、彼女は少なくとも私よりは年上のはずだ。
「わからないか?
とにかくだな……おまえとは血が繋がっていて、おまえの大切な家族の一人だってことさ。」
「家族……?」
ディヴィッドは、リータに向き直り、何かを考えるようにじっとその顔をみつめた。
「ディヴィッド……
おまえのかあちゃんは、昔、この人の言うことを聞かずに勝手な事をした。
今じゃそれが悪いことだったってわかってるんだけど、なかなかごめんなさいが言えないんだ。
だから、ずっと離れて暮らしてた。
でもな……心の底じゃ謝って仲直りしたいって思ってるし、この人のことも心配してるんだ。
俺はそれを知ってるから、おまえをここに連れて来たんだ。」
今度はリュックがディヴィッドに優しく声をかけ、ディヴィッドはそれを真剣な表情で聞いていた。
「そうだったの…
母さんは素直じゃないって、おばあちゃんがよく言ってた。
あ…そのおばあちゃんは、僕が小さい頃近所に住んでたおばあちゃんで……」
「どうかしたのか、ディヴィッド?」
「……う、うん。
母さんが働きに行ってる間、僕の世話をしてくれてたおばあちゃんなんだ。
とっても優しくて、僕にいろんなことを教えてくれた……
だけど、去年……おばあちゃんは病気で死んじゃったんだ。
雪の降るすごく寒い日だったよ。
おばあちゃんの柩を皆で並んで運んでいったんだ……
僕…ものすごく悲しくて……」
ディヴィッドの話す声が次第に震え出し、その青い瞳には今にも溢れそうな涙が溜まっていた。
「ほ、本当なの!?
本当に、この人がおばあちゃん…?」
リータの作ってくれた料理に舌鼓を打ち始めて程なくして、リュックは唐突にリータの正体をディヴィッドに話した。
まさか、こんなに早く打ち明けるとは思っていなかっただけに、私は心配でディヴィッドの顔ばかりをみつめていた。
「あぁ、本当だ。」
「で、でも……この人は全然おばあちゃんじゃないよ。
髪も白くないし、腰も曲がってないし……」
その言葉に、サイモンは大きな口を開けて笑い声を上げる。
「ディヴィッド、おまえ、本当に面白いことを言うんだな。
確かに、おばさんは若いから、おまえが不思議に思うのも当然だ。
う~ん…わかりやすくいうとだな、この人はおまえのお母さんのお母さんなんだ。
だから、おまえから見たらおばあちゃんだけど、見た目にはおばあちゃんじゃないよな。」
ディヴィッドはサイモンの説明に、戸惑ったような顔で小首を傾げる。
今の説明ではディヴィッドが混乱するのも無理はない。
確かにリータは、エヴァのような娘がいるとは思えない若さを保っている。
何も知らなければ、私と同じくらいの年齢だと感じてしまう程だ。
だが、エヴァの年を考えれば、彼女は少なくとも私よりは年上のはずだ。
「わからないか?
とにかくだな……おまえとは血が繋がっていて、おまえの大切な家族の一人だってことさ。」
「家族……?」
ディヴィッドは、リータに向き直り、何かを考えるようにじっとその顔をみつめた。
「ディヴィッド……
おまえのかあちゃんは、昔、この人の言うことを聞かずに勝手な事をした。
今じゃそれが悪いことだったってわかってるんだけど、なかなかごめんなさいが言えないんだ。
だから、ずっと離れて暮らしてた。
でもな……心の底じゃ謝って仲直りしたいって思ってるし、この人のことも心配してるんだ。
俺はそれを知ってるから、おまえをここに連れて来たんだ。」
今度はリュックがディヴィッドに優しく声をかけ、ディヴィッドはそれを真剣な表情で聞いていた。
「そうだったの…
母さんは素直じゃないって、おばあちゃんがよく言ってた。
あ…そのおばあちゃんは、僕が小さい頃近所に住んでたおばあちゃんで……」
「どうかしたのか、ディヴィッド?」
「……う、うん。
母さんが働きに行ってる間、僕の世話をしてくれてたおばあちゃんなんだ。
とっても優しくて、僕にいろんなことを教えてくれた……
だけど、去年……おばあちゃんは病気で死んじゃったんだ。
雪の降るすごく寒い日だったよ。
おばあちゃんの柩を皆で並んで運んでいったんだ……
僕…ものすごく悲しくて……」
ディヴィッドの話す声が次第に震え出し、その青い瞳には今にも溢れそうな涙が溜まっていた。
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