お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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048 : 数珠つなぎ

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 「マルタンさん!」

 聞きなれた声に振り向くと、微笑みながら手を振るクロワとクロードの姿があった。



 「クロワさん、それに先生……!」

 私は作業の手を止め、同じように手を振り返す。
その間にも二人は小走りで私の元へ近付いて来た。



 「すぐにここがわかりましたか?」

 「ええ、宿屋に行ったらそんな人は泊まっていないって言われて驚いたんですが、ビルさんという方を探してお話をうかがった所、この町の火事のこと、そしてお二人がここへ向かわれたことをお聞きして……おそらくここにいらっしゃるんだろうと思ってました。
あら?……リュックはご一緒じゃないんですか?」

クロワはそう言いながら、あたりを見渡した。



 「彼はこのところ隣町への買い出しに行っていて…もうしばらくしたら戻って来ますよ。」

 「そうなんですか。
……それにしても大変な火事だったのですね。
 怪我人は多く出たのですか?」

 「大火だった割りには重傷者は少なかったようです。
 死者も出なかった。
ですが、最近は体調を崩す者が増えて来ているのですよ。
 皆、なんとか早く復興しようと、頑張り過ぎているのかもしれません。
 今日も、一人、作業中に倒れた者がいました。
 先生達が来てくれたら助かりますよ。
この町の診療所の医師は高齢で、ここのところ患者が立て込んだことで疲れておられるようなのです。」

 「診療所はどちらですか?」

 町に着いたばかりだというのに、クロードの職業意識はすぐに職務に着くことを選択したようだ。



 「私がご案内します。」

 私は、傍にいた者に事情を話し、二人を診療所に案内した。



 *



 「あのアンディが…!?」

 診療所までの道すがら、私達はこの数日間、お互いの身に起こったことを簡単に話し合った。
あのアンディがリンゼイの屋敷に現れ、しかも、クロワの話によると、二人はお互いに好感を持っていそうだという話には、とても驚かされた。



 「本当に縁って不思議なものですね。」

 「そうですね……
そうか、アンディとリンゼイさんが……」

あの二人を結び付けて考えてみたことなど一度もなかった。
しかし、彼らが並んでいる様を想像すると、不思議としっくりとした感があった。



 「リュックにも早く話してあげたいわ。」

 「クロワさんったら、そればっかりですね。」

クロードは、そう言って苦笑する。



 「彼が聞いたらきっと喜びますよ。
……あ、あそこです。
 診療所はあの白い壁の……」

 私の案内に頷くクロードの顔は、すでに医師の顔に変わっていた。
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