お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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047 : 猫の目

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 「母さん!母さん!
 開けて!リンゼイよ!」

 私達はほとんど休むことなく、あの山の上の屋敷まで歩き続けた。
おかげで、リンゼイの住む町まで行った時の半分強で戻ることが出来た。



 「おかしいわ…誰も出てこない……
母さん!母さん!!」

リンゼイは半狂乱になりながら、扉を叩き続ける。



 「リンゼイ、離れてろ!」

リュックはリンゼイの身体をそっと脇に促すと、勢いをつけて扉に体当たりした。
しかし、その扉は見た目通りとても頑丈なもので、小柄なリュックはもんどりうって倒れただけだった。



 「畜生!なんて固い扉なんだ。
よ~し!もう一度!」

リュックは悪態を吐きながら起きあがり、身体に付いた土を払う。




 「リュック、それよりもあの窓を壊した方が良いんじゃないか?」

 私は玄関の脇にある窓を指差した。



 「そうだな!」

リュックがきょろきょろとあたりを見まわし、小さな植木罰を持ち上げた。




 「みんな、離れてろ!」

そう言うと、リュックは植木鉢を窓に目掛けて投げつける。
 大きく乾いた音を立てて、窓ガラスは砕け散った。
そして、それと同時に家の中から女性の叫び声が……




「誰かいるのか!?」

リュックが窓の近くに駆け寄ろうとした時、リンゼイが彼の服をひっぱった。



 「裏口があるんです!あそこから入りましょう!」

リンゼイを先頭にして着いて行くと、屋敷の裏手に小さな扉があった。
 一応、簡単な鍵がかかっていたが、リュックが少し力を込めただけで、鍵は壊れ扉が開いた。



 「母さん、母さん!!」

 家の中になだれ込んだリンゼイは、泣きながら母親を呼びながら部屋の中を動き続ける。




 「リンゼイ……!」

 「母さん……!」



 幸いなことに彼女の母親は生きており、それを見たリンゼイは勢い良く母親の胸に飛びこんだ。




 「母さん!なんて馬鹿なことを……!」

 「あ…い、痛いっっ!」

 「え……?」



 辛そうに顔を歪めた母親に、リンゼイは呆然としながらも母親から身体を離した。

 
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