お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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047 : 猫の目

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 「それじゃあ、行って来るな!」

 「よろしくお願いします。」




 次の日の朝、私達は山の屋敷を後にした。



 「しかし、何なんだろうな?」

 「娘さんのことか?」

 「あぁ、会っても驚いた顔はしないでくれ…なんて、どういうことなんだろうな?」



 彼女があんな山の中に住んでいるのは、娘のことが原因だということがわかった。
 彼女の夫は、娘を人前に出したくないがために、町から離れた山の中に屋敷を建てたということだった。
しかし、当の娘はそんな親の気持ちに反発し、一人で家を出て行ってしまったのだという。



 「詳しいことはわからないが、父親の葬儀にも来ないなんて良くないよな…
なぁ、マルタン…なんとか二人を仲直りさせてやろうぜ。」

 「……そうだな。」

 本心では他人の問題にそこまで立ち入るのもどうかと思っていたが、リュックにそんなことを言っても止められないということもわかっていた。
だから、彼のしたいようにさせよう…そう考え、適当に相槌を打ったのだ。




 *



 「確か、この町だな。」



 娘のいる町はあの山の屋敷から徒歩で二昼夜かかった場所だった。



 「あ、この町にリンゼイって人はいるかい?
まだ若い娘なんだが……」

リュックは通りがかった商人風の男に声をかけた。



 「……あぁ、リンゼイならこの先の商店街を抜けたずっと先の家にいるよ。
 町外れの小さな家だ。」

 「そうか、ありがとな。」



 私は、返事をする時の男の表情に、なんとも言い難い小さな違和感を感じた。



 「良かったな、たまたま彼女のことを知ってる人がいて……」

しかし、リュックは特に何も感じていないようだった。



 (……私の思い過ごしだったか?)



 「おかしいわね。ここらは大きな家ばかりね。」

 「でも、商店街を抜けた道って言ったらここのはずだけどな。
……ん?クロワさん、もしかしたら、あれじゃないか?」

 私達は男の言った通りに進んで行ったが、なかなかそれらしき家がみつからず、もしかして通り過ぎてしまったかと思い始めた頃、ようやく一軒の小さな家をみつけた。
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