お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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045 : 盗み聞きの値段

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 「こんな状態でよく今まで無事だったものだ。」

 「先生!母さんは…母さんは助かるよね!?」

 「……大丈夫よ、カール。
お母さんはきっと助かるわ。」

クロワは、カールの手を握り、カールはクロワに向かって深く頷いた。



カールの家に着いて母親を診察したクロードは、すぐさま町の診療所へ運ぶ事を指示した。
 診療所でクロードはそこの医師と一緒に、適切な処置を施した。
カールの母は心臓の病に併せ、酷い栄養失調の状態にあったようで、とても重篤な状態だったようだ。
まだ予断を許さないことには変わりはないようだが、ここにいればすぐに対処が出来る。
 薬により死んだように眠る母親の顔をカールとその兄が、ベッドに寄り添い心配そうにみつめていた。



 「カール、それにおまえ、ちょっと俺に着いて来い。」

 「え…でも…」

 「おふくろさんなら大丈夫だ。
ここは診療所なんだぞ。」



リュックが何をするつもりなのかわからなかったが、私もリュックに着いて診療所を後にした。



 「あの…どこに行くんですか?」

 「いいから黙って歩け。
すぐそこだ。」



 *



 「ここだ。さぁ、入れ。」

リュックが二人を連れて行ったのは、診療所からほど近い町のレストランだった。



 「さ、何でも好きなものを注文するんだ。」

 兄弟は顔を見合わせ、そしておどおどとした視線をリュックに向けた。



 「何でも良いなら俺が適当に注文するぞ!
えっと…」

リュックはメニューを見ながら、子供の好きそうな料理を次々に注文する。
 二人は、ぽかんとした様子でただリュックをみつめるばかりだった。



 「えっと、おまえ…名前はなんていうんだ?」

 「え……テ、テリーです。」

 「そうか、それでおまえ達の父ちゃんは?」

 「俺もよく覚えてないけど、カールが生まれてすぐに死んだって…」

 「そうだったのか…それで、おふくろさんが一人でおまえ達を育ててたんだな。」

 二人は同時に小さく頷いた。



 「お待たせしました。」

 「わぁ…」

 運ばれて来た出来立てのオムレツに、テリーは思わず声をあげ、慌てて両手で口を塞いだ。
リュックはその様子を見て嬉しそうに目を細める。
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