257 / 389
045 : 盗み聞きの値段
12
しおりを挟む
*
「こんな状態でよく今まで無事だったものだ。」
「先生!母さんは…母さんは助かるよね!?」
「……大丈夫よ、カール。
お母さんはきっと助かるわ。」
クロワは、カールの手を握り、カールはクロワに向かって深く頷いた。
カールの家に着いて母親を診察したクロードは、すぐさま町の診療所へ運ぶ事を指示した。
診療所でクロードはそこの医師と一緒に、適切な処置を施した。
カールの母は心臓の病に併せ、酷い栄養失調の状態にあったようで、とても重篤な状態だったようだ。
まだ予断を許さないことには変わりはないようだが、ここにいればすぐに対処が出来る。
薬により死んだように眠る母親の顔をカールとその兄が、ベッドに寄り添い心配そうにみつめていた。
「カール、それにおまえ、ちょっと俺に着いて来い。」
「え…でも…」
「おふくろさんなら大丈夫だ。
ここは診療所なんだぞ。」
リュックが何をするつもりなのかわからなかったが、私もリュックに着いて診療所を後にした。
「あの…どこに行くんですか?」
「いいから黙って歩け。
すぐそこだ。」
*
「ここだ。さぁ、入れ。」
リュックが二人を連れて行ったのは、診療所からほど近い町のレストランだった。
「さ、何でも好きなものを注文するんだ。」
兄弟は顔を見合わせ、そしておどおどとした視線をリュックに向けた。
「何でも良いなら俺が適当に注文するぞ!
えっと…」
リュックはメニューを見ながら、子供の好きそうな料理を次々に注文する。
二人は、ぽかんとした様子でただリュックをみつめるばかりだった。
「えっと、おまえ…名前はなんていうんだ?」
「え……テ、テリーです。」
「そうか、それでおまえ達の父ちゃんは?」
「俺もよく覚えてないけど、カールが生まれてすぐに死んだって…」
「そうだったのか…それで、おふくろさんが一人でおまえ達を育ててたんだな。」
二人は同時に小さく頷いた。
「お待たせしました。」
「わぁ…」
運ばれて来た出来立てのオムレツに、テリーは思わず声をあげ、慌てて両手で口を塞いだ。
リュックはその様子を見て嬉しそうに目を細める。
「こんな状態でよく今まで無事だったものだ。」
「先生!母さんは…母さんは助かるよね!?」
「……大丈夫よ、カール。
お母さんはきっと助かるわ。」
クロワは、カールの手を握り、カールはクロワに向かって深く頷いた。
カールの家に着いて母親を診察したクロードは、すぐさま町の診療所へ運ぶ事を指示した。
診療所でクロードはそこの医師と一緒に、適切な処置を施した。
カールの母は心臓の病に併せ、酷い栄養失調の状態にあったようで、とても重篤な状態だったようだ。
まだ予断を許さないことには変わりはないようだが、ここにいればすぐに対処が出来る。
薬により死んだように眠る母親の顔をカールとその兄が、ベッドに寄り添い心配そうにみつめていた。
「カール、それにおまえ、ちょっと俺に着いて来い。」
「え…でも…」
「おふくろさんなら大丈夫だ。
ここは診療所なんだぞ。」
リュックが何をするつもりなのかわからなかったが、私もリュックに着いて診療所を後にした。
「あの…どこに行くんですか?」
「いいから黙って歩け。
すぐそこだ。」
*
「ここだ。さぁ、入れ。」
リュックが二人を連れて行ったのは、診療所からほど近い町のレストランだった。
「さ、何でも好きなものを注文するんだ。」
兄弟は顔を見合わせ、そしておどおどとした視線をリュックに向けた。
「何でも良いなら俺が適当に注文するぞ!
えっと…」
リュックはメニューを見ながら、子供の好きそうな料理を次々に注文する。
二人は、ぽかんとした様子でただリュックをみつめるばかりだった。
「えっと、おまえ…名前はなんていうんだ?」
「え……テ、テリーです。」
「そうか、それでおまえ達の父ちゃんは?」
「俺もよく覚えてないけど、カールが生まれてすぐに死んだって…」
「そうだったのか…それで、おふくろさんが一人でおまえ達を育ててたんだな。」
二人は同時に小さく頷いた。
「お待たせしました。」
「わぁ…」
運ばれて来た出来立てのオムレツに、テリーは思わず声をあげ、慌てて両手で口を塞いだ。
リュックはその様子を見て嬉しそうに目を細める。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる