お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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043 : 雪の街

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「俺達は、ま、言ってみれば旅人だな。」

 「自由気ままな旅ということか…羨ましいもんじゃな。
わしは宿屋をやっとるんじゃが、せっかくじゃから泊まっていかんか?
ここに一泊すれば、ますます元気が出るぞ。
うちの二階からは裏山の景色もよく見えてそりゃあ綺麗なんじゃ。」

 「なんだ、爺さん、商売がうまいな。
……そういやあ、爺さん、今、大道芸は来てるかい?」

 「あぁ、それなら、昨日までいたんじゃが今朝早くに出て行ってしまったよ。
あんたら、大道芸を見に来たのかね?」

 「そういうわけじゃないんだけどな……どうする?」

 「私、裏山に行ってみたいわ!」

リュックが私に意見を求めた時、クロワが弾んだ声を上げた。
そういえば、このところ、クロワは薬草摘みをしていない。
この粉雪の木を見て、彼女の植物好きな血が騒いだのだろう。
クロワの言葉に反対する者は誰もなく、私達はその街で二、三日ゆっくりすることを決めた。

 雪の街は活気のある大きな街で、大通りには商店が建ち並び、大勢の人々がひしめきあっていた。
そこを抜けると入口付近よりもさらに粉雪の木の数が増え、公園のような造りになっており、観光客と見られる人々が幸せそうな笑顔を浮かべ、思い思いに楽しんでいた。
 老人の宿はさらにその奥の街のはずれの閑静な場所にあった。



 「ずいぶんとへんぴな場所にあるんだな。」

 「その代わり、ここは空気もとびきり良いぞ。」

 「あれ、見て……!」

クロワが指差す先には、真っ白な雪化粧をしたように見える小高い山があった。
 私は、本物の雪山というものを見た事がないが、きっとこの光景は本物の雪山よりも美しいのではないかと思った。



 「な?言った通りじゃろ?
 裏山には、明日、わしが案内しよう。
まずはゆっくり休んでおくれ。
じきに夕食を用意するからな。」

 「爺さん、夕飯は早めにしてくれ。
 俺、なんだかすごく腹が減って来たよ。」

 老人は、リュックの言葉に笑いながら承諾すると、私達を宿の中に招き入れた。

 
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