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036 : 思い出の向こう
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「俺にはよくわからないけど…
この宝箱はずっと大切にしていくよ…」
ピーターがテーブルの上の宝箱を見ながら、ぽつりと呟いた。
「そうね。それが良いわね。
きっとトーマスさんも天国からあなたのことを見守って下さいますよ。」
シスターキャロルが、静かな声でそう言った。
「それにしても、トーマスさんは、その箱に何を入れるつもりだったんだろう?
リュックさん、机の上にはそれらしきものはなかったんですか?」
「あぁ…机の上に出てたのは、便箋とその箱だけだった。」
「だとしたら、手紙を入れようとされてたのではないですか?」
「手紙を?
封筒じゃなくて、わざわざこの箱に手紙を入れるっていうのか?」
リュックは、ブランドンの思いつきに、とても納得出来ないという表情を浮かべた。
「今となってはもうわからないわね。
でも…きっとそれをあげたかった相手は、リュックさんのおっしゃる通り、ピーターだと思うわ。」
シスターキャロルの言葉に、皆が頷いた。
もちろん、私も同じ考えだった。
「私は……もしや、その宝箱自体がトーマスさんの大切なものだったのではないかと思います。」
私は、ふと頭に浮かんだことを話していた。
「なるほど…!爺さんがわざわざ家まで取りに戻りたいって言ったくらいだもんな。
ずいぶん古いもんみたいだし、第一、宝箱の形っていうのが珍しい。
もしかしたら、爺さんの手作りなのかもしれないぜ。」
リュックの言葉で、私は今の思いつきがあながち的外れではないように思えた。
例えば、かの昔、トーマスに家族がいて…
その息子に作ったものだということもあるかもしれない…
彼は自分のことはほとんど話さなかったが、トーマスも最初から老人だったわけでも最初からあの場所に住んでいたわけでもない。
彼には私達の知らない過去があるのだ。
あの宝箱は、そういった過去の思い出の品だったのかもしれないと、私は思った。
この宝箱はずっと大切にしていくよ…」
ピーターがテーブルの上の宝箱を見ながら、ぽつりと呟いた。
「そうね。それが良いわね。
きっとトーマスさんも天国からあなたのことを見守って下さいますよ。」
シスターキャロルが、静かな声でそう言った。
「それにしても、トーマスさんは、その箱に何を入れるつもりだったんだろう?
リュックさん、机の上にはそれらしきものはなかったんですか?」
「あぁ…机の上に出てたのは、便箋とその箱だけだった。」
「だとしたら、手紙を入れようとされてたのではないですか?」
「手紙を?
封筒じゃなくて、わざわざこの箱に手紙を入れるっていうのか?」
リュックは、ブランドンの思いつきに、とても納得出来ないという表情を浮かべた。
「今となってはもうわからないわね。
でも…きっとそれをあげたかった相手は、リュックさんのおっしゃる通り、ピーターだと思うわ。」
シスターキャロルの言葉に、皆が頷いた。
もちろん、私も同じ考えだった。
「私は……もしや、その宝箱自体がトーマスさんの大切なものだったのではないかと思います。」
私は、ふと頭に浮かんだことを話していた。
「なるほど…!爺さんがわざわざ家まで取りに戻りたいって言ったくらいだもんな。
ずいぶん古いもんみたいだし、第一、宝箱の形っていうのが珍しい。
もしかしたら、爺さんの手作りなのかもしれないぜ。」
リュックの言葉で、私は今の思いつきがあながち的外れではないように思えた。
例えば、かの昔、トーマスに家族がいて…
その息子に作ったものだということもあるかもしれない…
彼は自分のことはほとんど話さなかったが、トーマスも最初から老人だったわけでも最初からあの場所に住んでいたわけでもない。
彼には私達の知らない過去があるのだ。
あの宝箱は、そういった過去の思い出の品だったのかもしれないと、私は思った。
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