お題小説2

ルカ(聖夜月ルカ)

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016 : 旅人は行く先を知らない

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「お心遣い本当にありがとうございます。
 僕はここの責任者のブランドンという者です。」

ブランドンは片手を差し出し、二人は握手を交わした。



 「あ…あの、申し訳ないほど、少ない額なんです。
す、すみません!」

 「そんなこと…まだ、本格的に始めてもいないのに、こんなことをしていただけるなんて、本当に感謝致します。」

 「いえ…どうぞ、頑張って下さいね。
あ、それと、つまらないものですが、よろしければこれを…」

 男性は、バッグの中から木で造られたおもちゃの木を取り出した。



 「ありがとうございます。
もしかしたら、これはあなたが彫られたんですか?」

 「ええ…不出来なものですが…」

 「いえ、とてもお上手ですよ。」

 「ありがとう…では、僕はこれで…」

 「あ…あの、良かったらお名前を教えていただけませんか?」

 男性はそれには答えず、ただにっこりと微笑み去って行った。



 「どこかで聞いて持って来てくれたんだろうな。
あの様子じゃ金もそう持ってなさそうなのに…良い人だな。」

 「そうですね。
ありがたいことですね。」



 *



 「キャロルさん、実はさっき…」

ブランドンは先程の出来事を話し、寄付金をキャロルに預けた。



 「そう…本当にありがたいことですね。
お名前も告げられないとは…謙虚な方なのですね。
……あら、それは?」

 「あぁ、これもその方が下さったんです。
 子供にと思って下さったのかもしれませんが、その人のお気持ちを忘れないようにここに飾りませんか?」

 「そうね…」

キャロルは、おもちゃの木を手に取り、じっとみつめていた。



 「……キャロルさん、何か?」

 「なんだか、この木を見ているととても懐かしい気持ちがするの…
きっと、ご寄付を下さった方のお優しい気持ちがこもっているのね。」

 「そうかもしれませんね。
とてもお優しい表情をされた旅人さんでしたよ。」

 「そうですか…」 
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