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003 : 障害と剣
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私達はまず町の宿屋へ向かった。
リカールは、このあたりの町の宿屋を転々としているということだったので、そこにいなければリュックと別れ、それぞれが隣町の宿屋まで走ることにしていたのだが、運良くリカールは町の宿屋にいた。
私達は、手短に今の状況をリカールに伝えた。
「そうですか…
ついに、マノンの心が決まったのですね。
わかりました。
では、行きましょうか。」
こんな時にもリカールは極めて冷静だった。
顔色一つ変えることはなかった。
私達が、リカールを連れて屋敷に戻ると、真っ赤な顔をしたルイスがリカールに掴みかかって来た。
本来なら、横っ面を引っ叩きたい所だったのだろうが、ルイスの腕は長身のリカールの顔には届かなかった。
そのことがさらに彼を苛つかせたようだった。
「ルイスさん、申し訳ありませんでした。」
「こ、こいつ……!!」
「爺さん、冷静になれよ。
マノンさんとリカールの話を聞いてやりな。」
リカールとルイスの中に入ったリュックがルイスをなだめた。
「こんな時に冷静になれるか!
マノンは…また同じ間違いをおかしたんじゃ!
この子は昔から人を外見でしか判断出来ん。
それで、辛い想いをしたというのに、また同じことを…」
「爺さん、そうやって決めつけるのは早いんじゃないか?!
まずは落ちついて、マノンさん達の話を聞けって!」
クロワが冷たい水の入ったグラスをルイスの前に差し出し、ルイスは、その水を一気に飲み干した。
「マノンさん、話すんだ。
あんたとリカールのことを…
あんたの気持ちをな。」
「はい…」
マノンは、ぽつりぽつりと話し始めた。
リカールとの出会い、そしてルイスにリカールのことを認めてもらうために彼を闘技場に出そうと考えたことを…
「おまえ…そんなことをしてまでこのわしを騙していたのか!」
「騙そうとしたわけじゃないわ。
ただ…父さんは顔が良い人を毛嫌いしてる。
だから、彼のことを違う面で父さんに認めてほしかったの。
父さんがそんな風になったのも私のせいだってことはわかってるけど、私はもうあの頃の私とは違うわ。
彼の容姿にひかれたわけじゃない。
彼の人柄にひかれたの。」
リカールは、このあたりの町の宿屋を転々としているということだったので、そこにいなければリュックと別れ、それぞれが隣町の宿屋まで走ることにしていたのだが、運良くリカールは町の宿屋にいた。
私達は、手短に今の状況をリカールに伝えた。
「そうですか…
ついに、マノンの心が決まったのですね。
わかりました。
では、行きましょうか。」
こんな時にもリカールは極めて冷静だった。
顔色一つ変えることはなかった。
私達が、リカールを連れて屋敷に戻ると、真っ赤な顔をしたルイスがリカールに掴みかかって来た。
本来なら、横っ面を引っ叩きたい所だったのだろうが、ルイスの腕は長身のリカールの顔には届かなかった。
そのことがさらに彼を苛つかせたようだった。
「ルイスさん、申し訳ありませんでした。」
「こ、こいつ……!!」
「爺さん、冷静になれよ。
マノンさんとリカールの話を聞いてやりな。」
リカールとルイスの中に入ったリュックがルイスをなだめた。
「こんな時に冷静になれるか!
マノンは…また同じ間違いをおかしたんじゃ!
この子は昔から人を外見でしか判断出来ん。
それで、辛い想いをしたというのに、また同じことを…」
「爺さん、そうやって決めつけるのは早いんじゃないか?!
まずは落ちついて、マノンさん達の話を聞けって!」
クロワが冷たい水の入ったグラスをルイスの前に差し出し、ルイスは、その水を一気に飲み干した。
「マノンさん、話すんだ。
あんたとリカールのことを…
あんたの気持ちをな。」
「はい…」
マノンは、ぽつりぽつりと話し始めた。
リカールとの出会い、そしてルイスにリカールのことを認めてもらうために彼を闘技場に出そうと考えたことを…
「おまえ…そんなことをしてまでこのわしを騙していたのか!」
「騙そうとしたわけじゃないわ。
ただ…父さんは顔が良い人を毛嫌いしてる。
だから、彼のことを違う面で父さんに認めてほしかったの。
父さんがそんな風になったのも私のせいだってことはわかってるけど、私はもうあの頃の私とは違うわ。
彼の容姿にひかれたわけじゃない。
彼の人柄にひかれたの。」
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