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003 : 障害と剣
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「違わねぇな。
たまたまそういうことに遭遇するってこと自体、ありそうでいてそうそうあることじゃない。
そういうことに遭遇するのは、自分に関係があるからだ。」
「なら、そういう場面に遭遇して、あなたがもしも泳げなかったらどうするんだ?
子供を助けたくとも助けられないではないか。」
「それなら俺は泳げる誰かを呼びに行く。
人それぞれ出来ない事はいろいろあるが、何も出来ない人間なんて一人もいないんだ。」
リカールは、リュックの言葉に一瞬瞼を大きく見開き、そのまま黙って下を向いた。
「リカールさん、私もマルタンさんのお陰で生まれ変わることが出来たんです。」
「そうじゃない。
瀕死だった私の命を救って下さったのはクロワさんの方なんです。
クロワさんは見ず知らずの私を手厚く看護して下さった…」
「リカール…
俺達は、自分達の出来ることをやりたいだけなんだ。
俺はもうあんたらのことを知ってしまったんだ。
勝手なことを言うようだが、あんたらのことはもう俺の問題でもある。
もちろん、あんたらが嫌がるようなことをするつもりはないが、どうか俺達にあんたらの手助けをさせてくれ。」
「リュックさん…ありがとうございます。
リカール…リュックさんがここまでおっしゃって下さってるのよ。
お願いしましょうよ。」
リカールは、マノンの言葉にも答えず、押し黙ったままだった。
部屋の中は再び、気まずい沈黙に包まれた。
「……すみません。
私や先生が来たことで、リカールさんがお気を悪くされたみたいですね。
本当にごめんなさい。」
部屋を出ていこうとするクロワの腕をリカールが止めた。
「あなたも座って下さい。」
「え…?」
「リュックさん、申し訳ありませんが、私達のことをこの方々にもかいつまんで話していただけますか?
私はどうも口下手で…」
「リカール…
……おう!そんなことなら俺にまかせといてくれ!」
リカールが、リュックに向かって穏やかな笑顔を見せた。
リュックもそんなリカールに同じように微笑を返した。
たまたまそういうことに遭遇するってこと自体、ありそうでいてそうそうあることじゃない。
そういうことに遭遇するのは、自分に関係があるからだ。」
「なら、そういう場面に遭遇して、あなたがもしも泳げなかったらどうするんだ?
子供を助けたくとも助けられないではないか。」
「それなら俺は泳げる誰かを呼びに行く。
人それぞれ出来ない事はいろいろあるが、何も出来ない人間なんて一人もいないんだ。」
リカールは、リュックの言葉に一瞬瞼を大きく見開き、そのまま黙って下を向いた。
「リカールさん、私もマルタンさんのお陰で生まれ変わることが出来たんです。」
「そうじゃない。
瀕死だった私の命を救って下さったのはクロワさんの方なんです。
クロワさんは見ず知らずの私を手厚く看護して下さった…」
「リカール…
俺達は、自分達の出来ることをやりたいだけなんだ。
俺はもうあんたらのことを知ってしまったんだ。
勝手なことを言うようだが、あんたらのことはもう俺の問題でもある。
もちろん、あんたらが嫌がるようなことをするつもりはないが、どうか俺達にあんたらの手助けをさせてくれ。」
「リュックさん…ありがとうございます。
リカール…リュックさんがここまでおっしゃって下さってるのよ。
お願いしましょうよ。」
リカールは、マノンの言葉にも答えず、押し黙ったままだった。
部屋の中は再び、気まずい沈黙に包まれた。
「……すみません。
私や先生が来たことで、リカールさんがお気を悪くされたみたいですね。
本当にごめんなさい。」
部屋を出ていこうとするクロワの腕をリカールが止めた。
「あなたも座って下さい。」
「え…?」
「リュックさん、申し訳ありませんが、私達のことをこの方々にもかいつまんで話していただけますか?
私はどうも口下手で…」
「リカール…
……おう!そんなことなら俺にまかせといてくれ!」
リカールが、リュックに向かって穏やかな笑顔を見せた。
リュックもそんなリカールに同じように微笑を返した。
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