34 / 389
003 : 障害と剣
23
しおりを挟む
*
「あれっ?おかしいな…
マノンさんはもう着いてるはずなのに…」
店の前に着いたリュックは、店の灯かりがついていないことを訝しく感じながら、裏口に回った。
ノブを回すとすんなりと扉は開いた。
裏口の鍵はかかってはいなかったのだ。
(やっぱり来てるんだな?
一体、どうしたんだろう?
まさか、何かが…!?)
リュックは、音を立てないように気を付けながら扉を小さく開き、店の中に中へ身体を滑りこませた。
(誰かいる…!)
耳を澄ませていると、リュックの耳に男女の話し声のようなものが聞こえてきた。
店の奥の方には小さな明かりが一つだけついていた。
その灯かりに照らされて、男女が抱き合うシルエットが浮かんでいる。
男は体格が良いようで、女性よりも頭一つ分大きい。
女性は、男性に取りすがって泣いているように感じられた。
(なんだ、なんだ?
もしかして、マノンさん、恋人と逢引してるのか?!
泣いてるみたいだが…まさか別れ話の最中とか…?
まずい時に来ちまったなぁ…)
そっとそこから出て行こうとした時、リュックの足が椅子にひっかかり、リュックは大きな音を立ててその場に倒れこんだ。
「誰だ!!
マノン!灯かりを…!!」
「はいっ!」
「あ…、ま…待って…!」
マノンの差し出したランプの灯かりに、リュックの顔が照らし出される。
「リュックさん!!」
「あ…マノンさん、すまなかったな。
何か手伝おうと思ったら、様子がおかしかったから、それで、俺…
マノンさん、その顔はどうしたんだ?泣いてたのか?
やっぱり何かあったのか?
あ……!!
あんたは、リカールじゃないか!!」
「あなたは司会の…」
「なんで、あんたがこんな所に…?」
「リュックさん、なんでもないの。
リカールさんは…そう!リカールさんはうちに食事にいらっしゃってそれで…」
「マノン…良いんだ…」
「リカール…」
その場に気まずい沈黙が広がった。
「なんか深い事情がありそうだな。
良かったら、話を聞かせてくれよ。
いや…言いたくない話だったら良いんだぜ。」
そう言いながら、リュックはゆっくりと立ちあがった。
「……そうですね。
これも何かの縁だ…聞いていただきましょう。」
「あれっ?おかしいな…
マノンさんはもう着いてるはずなのに…」
店の前に着いたリュックは、店の灯かりがついていないことを訝しく感じながら、裏口に回った。
ノブを回すとすんなりと扉は開いた。
裏口の鍵はかかってはいなかったのだ。
(やっぱり来てるんだな?
一体、どうしたんだろう?
まさか、何かが…!?)
リュックは、音を立てないように気を付けながら扉を小さく開き、店の中に中へ身体を滑りこませた。
(誰かいる…!)
耳を澄ませていると、リュックの耳に男女の話し声のようなものが聞こえてきた。
店の奥の方には小さな明かりが一つだけついていた。
その灯かりに照らされて、男女が抱き合うシルエットが浮かんでいる。
男は体格が良いようで、女性よりも頭一つ分大きい。
女性は、男性に取りすがって泣いているように感じられた。
(なんだ、なんだ?
もしかして、マノンさん、恋人と逢引してるのか?!
泣いてるみたいだが…まさか別れ話の最中とか…?
まずい時に来ちまったなぁ…)
そっとそこから出て行こうとした時、リュックの足が椅子にひっかかり、リュックは大きな音を立ててその場に倒れこんだ。
「誰だ!!
マノン!灯かりを…!!」
「はいっ!」
「あ…、ま…待って…!」
マノンの差し出したランプの灯かりに、リュックの顔が照らし出される。
「リュックさん!!」
「あ…マノンさん、すまなかったな。
何か手伝おうと思ったら、様子がおかしかったから、それで、俺…
マノンさん、その顔はどうしたんだ?泣いてたのか?
やっぱり何かあったのか?
あ……!!
あんたは、リカールじゃないか!!」
「あなたは司会の…」
「なんで、あんたがこんな所に…?」
「リュックさん、なんでもないの。
リカールさんは…そう!リカールさんはうちに食事にいらっしゃってそれで…」
「マノン…良いんだ…」
「リカール…」
その場に気まずい沈黙が広がった。
「なんか深い事情がありそうだな。
良かったら、話を聞かせてくれよ。
いや…言いたくない話だったら良いんだぜ。」
そう言いながら、リュックはゆっくりと立ちあがった。
「……そうですね。
これも何かの縁だ…聞いていただきましょう。」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!
ユウ
ファンタジー
トリアノン公爵令嬢のエリーゼは秀でた才能もなく凡庸な令嬢だった。
反対に次女のマリアンヌは社交界の華で、弟のハイネは公爵家の跡継ぎとして期待されていた。
嫁ぎ先も決まらず公爵家のお荷物と言われていた最中ようやく第一王子との婚約がまとまり、その後に妹のマリアンヌの婚約が決まるも、相手はスチュアート伯爵家からだった。
華麗なる一族とまで呼ばれる一族であるが相手は伯爵家。
マリアンヌは格下に嫁ぐなんて論外だと我儘を言い、エリーゼが身代わりに嫁ぐことになった。
しかしその数か月後、妹から婚約者を寝取り略奪した最低な姉という噂が流れだしてしまい、社交界では爪はじきに合うも。
伯爵家はエリーゼを溺愛していた。
その一方でこれまで姉を踏み台にしていたマリアンヌは何をしても上手く行かず義妹とも折り合いが悪く苛立ちを抱えていた。
なのに、伯爵家で大事にされている姉を見て激怒する。
「お姉様は不幸がお似合いよ…何で幸せそうにしているのよ!」
本性を露わにして姉の幸福を妬むのだが――。
異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
隠された第四皇女
山田ランチ
ファンタジー
ギルベアト帝国。
帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。
皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。
ヒュー娼館の人々
ウィノラ(娼館で育った第四皇女)
アデリータ(女将、ウィノラの育ての親)
マイノ(アデリータの弟で護衛長)
ディアンヌ、ロラ(娼婦)
デルマ、イリーゼ(高級娼婦)
皇宮の人々
ライナー・フックス(公爵家嫡男)
バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人)
ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝)
ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長)
リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属)
オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟)
エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟)
セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃)
ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡)
幻の皇女(第四皇女、死産?)
アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補)
ロタリオ(ライナーの従者)
ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長)
レナード・ハーン(子爵令息)
リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女)
ローザ(リナの侍女、魔女)
※フェッチ
力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。
ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。
稀代の大賢者は0歳児から暗躍する〜公爵家のご令息は運命に抵抗する〜
撫羽
ファンタジー
ある邸で秘密の会議が開かれていた。
そこに出席している3歳児、王弟殿下の一人息子。実は前世を覚えていた。しかもやり直しの生だった!?
どうしてちびっ子が秘密の会議に出席するような事になっているのか? 何があったのか?
それは生後半年の頃に遡る。
『ばぶぁッ!』と元気な声で目覚めた赤ん坊。
おかしいぞ。確かに俺は刺されて死んだ筈だ。
なのに、目が覚めたら見覚えのある部屋だった。両親が心配そうに見ている。
しかも若い。え? どうなってんだ?
体を起こすと、嫌でも目に入る自分のポヨンとした赤ちゃん体型。マジかよ!?
神がいるなら、0歳児スタートはやめてほしかった。
何故だか分からないけど、人生をやり直す事になった。実は将来、大賢者に選ばれ魔族討伐に出る筈だ。だが、それは避けないといけない。
何故ならそこで、俺は殺されたからだ。
ならば、大賢者に選ばれなければいいじゃん!と、小さな使い魔と一緒に奮闘する。
でも、それなら魔族の問題はどうするんだ?
それも解決してやろうではないか!
小さな胸を張って、根拠もないのに自信満々だ。
今回は初めての0歳児スタートです。
小さな賢者が自分の家族と、大好きな婚約者を守る為に奮闘します。
今度こそ、殺されずに生き残れるのか!?
とは言うものの、全然ハードな内容ではありません。
今回も癒しをお届けできればと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる