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003 : 障害と剣
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リカールと別れ、私はまた仕事に戻ったが、リカールのことがなかなか頭から離れなかった。
「マルタン、どうしたんだ?
ぼーっとして…」
「え……?」
振り向くと、そこにはリュックが立っていた。
「あ、リュックか…」
「どうしたんだ?なんか、おかしいぞ。」
「いや、なんでもない。」
私はそんなにもぼっとしていたのかと、我が事ながらおかしな気分だった。
「マルタン、そんな所にいたのか。
あと十分で試合が終わる。
終わったら、またステージの組み換えだからな!
すぐに来てくれよ。」
「あと十分…もうそんな時間だったのですか!」
「おいおい、忙しいのはわかるがしっかりしてくれよ!」
ジャックに背中を叩かれ、私はあらためて自分がいかにぼんやりしていたのかを思い知った。
ついさっきリカールの部屋から出て来たと思っていたのに、もうそんなのも時間が経っていたとは…
リュックの司会を見ることさえ忘れていた。
私は洗面所に向かい、ざばざばと冷たい水で顔を洗った。
これではまるで、女性に一目惚れをしてしまった時のようではないか。
私にそんな趣味はないはずなのに、どうしたことだ。
何度も冷たい水を顔に浴びせ、ステージの袖に向かった。
ステージではちょうど最後の試合が終わった所だった。
片方の選手が、足首を痛めたということで担がれながら医務室へ連れられていった。
そういえば、今日はまだクロワやクロードと顔を合わせていない。
この分では、二人と顔を合わせるのは、屋敷に戻ってからになりそうだ。
「よし、マルタン!
始めるぞ!」
ステージのロープがはずされ、マットがはがされる。
今度は、柵で格闘の時よりも広く囲われた。
先程までの格闘とは違い、今度は剣を持っての闘いだ。
観客が近付き過ぎて怪我でもしないように、柵は二重になっている。
観客達はまだ休憩時間だというのに、立ち上がり、いまかいまかとリカールの登場を待っている。
その熱い熱気が、会場中に渦巻いていた。
ほぼ準備が出来た頃には、「リカール!リカール!」という女性達のコールが沸き起こりだした。
こんな状態では対戦相手はやりにくいだろうと思った時、相手がどんな者でなんというな前だったかも覚えていないことに気が付いた。
ポケットから進行表を取り出して見てみると、相手はターナーという男だということがわかった。
「マルタン、どうしたんだ?
ぼーっとして…」
「え……?」
振り向くと、そこにはリュックが立っていた。
「あ、リュックか…」
「どうしたんだ?なんか、おかしいぞ。」
「いや、なんでもない。」
私はそんなにもぼっとしていたのかと、我が事ながらおかしな気分だった。
「マルタン、そんな所にいたのか。
あと十分で試合が終わる。
終わったら、またステージの組み換えだからな!
すぐに来てくれよ。」
「あと十分…もうそんな時間だったのですか!」
「おいおい、忙しいのはわかるがしっかりしてくれよ!」
ジャックに背中を叩かれ、私はあらためて自分がいかにぼんやりしていたのかを思い知った。
ついさっきリカールの部屋から出て来たと思っていたのに、もうそんなのも時間が経っていたとは…
リュックの司会を見ることさえ忘れていた。
私は洗面所に向かい、ざばざばと冷たい水で顔を洗った。
これではまるで、女性に一目惚れをしてしまった時のようではないか。
私にそんな趣味はないはずなのに、どうしたことだ。
何度も冷たい水を顔に浴びせ、ステージの袖に向かった。
ステージではちょうど最後の試合が終わった所だった。
片方の選手が、足首を痛めたということで担がれながら医務室へ連れられていった。
そういえば、今日はまだクロワやクロードと顔を合わせていない。
この分では、二人と顔を合わせるのは、屋敷に戻ってからになりそうだ。
「よし、マルタン!
始めるぞ!」
ステージのロープがはずされ、マットがはがされる。
今度は、柵で格闘の時よりも広く囲われた。
先程までの格闘とは違い、今度は剣を持っての闘いだ。
観客が近付き過ぎて怪我でもしないように、柵は二重になっている。
観客達はまだ休憩時間だというのに、立ち上がり、いまかいまかとリカールの登場を待っている。
その熱い熱気が、会場中に渦巻いていた。
ほぼ準備が出来た頃には、「リカール!リカール!」という女性達のコールが沸き起こりだした。
こんな状態では対戦相手はやりにくいだろうと思った時、相手がどんな者でなんというな前だったかも覚えていないことに気が付いた。
ポケットから進行表を取り出して見てみると、相手はターナーという男だということがわかった。
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