18 / 389
003 : 障害と剣
7
しおりを挟む
会場に入ると、私とリュックは各々の持ち場に着いた。
私の仕事は裏方だから特に問題はないのだが、リュックはステージに立つのだ。
その事で心配していたのだが、昨夜のリュックはもらってきた資料に軽く目を通しただけだった。
話すことは、ステージに出てから考えると言っていたが、大丈夫なのだろうか?
それに、彼の衣裳もまだ昨夜の時点では間に合っていなかったのだ。
開場までに間に合うのかと、私はそんなことも心配していたのだが、当のリュックは衣裳のこともまるで意に介してはいないようだった。
バタバタと走り回っているうちに、いつの間にか開場の時間が近付いていた。
今の所、緊急事態のようなことはなく、すべて順調に運んでいるようだ。
今日は柿落としということで、いつもより開場の時間が早く出しものも多い。
まず、大道芸があり、その後に格闘技、そして最後に剣の闘いが行われることになっている。
出番が遅いせいか、噂のリカールはまだ控え室には現れていない。
「そろそろ開けるぞ。
じゃあ、マルタンとジャックは外で客を誘導してくれ。
ジャック、マルタンに指示してやってくれ。」
私はジャックと共に、会場の外へ出た。
客の数は私達がここへ着いた時よりもずっと多くなっていた。
ジャックは、以前からここで働いているらしく、慣れた様子で私に指示を与えてくれた。
観客達を二列に並ばせていると、不意に入口の扉が開いた。
入口に駆け込もうとする客達に大きな声で「走らないように」と注意し、静止する。
そのほとんどは女性客だ。
きっと少しでも前の方でリカールを見たいのだろう。
思っていた以上に疲れる仕事だった。
熱狂的な女性客の後はさほど混乱もなく、スムーズに客は流れた。
あんなにたくさんいた客達がどんどん会場の中に吸い込まれていく。
今日だけで、相当な売上げになっているはずだ。
最後の客が会場に入った時点で、満員の看板がかけられ扉が閉じられた。
「お疲れだったな。
お蔭様で今日はすでに会場は満杯だ。
立ち見まで出てる。
思った以上の客入りだな!」
ハンクは、満足げに微笑みながらそう言った。
私の仕事は裏方だから特に問題はないのだが、リュックはステージに立つのだ。
その事で心配していたのだが、昨夜のリュックはもらってきた資料に軽く目を通しただけだった。
話すことは、ステージに出てから考えると言っていたが、大丈夫なのだろうか?
それに、彼の衣裳もまだ昨夜の時点では間に合っていなかったのだ。
開場までに間に合うのかと、私はそんなことも心配していたのだが、当のリュックは衣裳のこともまるで意に介してはいないようだった。
バタバタと走り回っているうちに、いつの間にか開場の時間が近付いていた。
今の所、緊急事態のようなことはなく、すべて順調に運んでいるようだ。
今日は柿落としということで、いつもより開場の時間が早く出しものも多い。
まず、大道芸があり、その後に格闘技、そして最後に剣の闘いが行われることになっている。
出番が遅いせいか、噂のリカールはまだ控え室には現れていない。
「そろそろ開けるぞ。
じゃあ、マルタンとジャックは外で客を誘導してくれ。
ジャック、マルタンに指示してやってくれ。」
私はジャックと共に、会場の外へ出た。
客の数は私達がここへ着いた時よりもずっと多くなっていた。
ジャックは、以前からここで働いているらしく、慣れた様子で私に指示を与えてくれた。
観客達を二列に並ばせていると、不意に入口の扉が開いた。
入口に駆け込もうとする客達に大きな声で「走らないように」と注意し、静止する。
そのほとんどは女性客だ。
きっと少しでも前の方でリカールを見たいのだろう。
思っていた以上に疲れる仕事だった。
熱狂的な女性客の後はさほど混乱もなく、スムーズに客は流れた。
あんなにたくさんいた客達がどんどん会場の中に吸い込まれていく。
今日だけで、相当な売上げになっているはずだ。
最後の客が会場に入った時点で、満員の看板がかけられ扉が閉じられた。
「お疲れだったな。
お蔭様で今日はすでに会場は満杯だ。
立ち見まで出てる。
思った以上の客入りだな!」
ハンクは、満足げに微笑みながらそう言った。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
【TS転生勇者のやり直し】『イデアの黙示録』~魔王を倒せなかったので2度目の人生はすべての選択肢を「逆」に生きて絶対に勇者にはなりません!~
夕姫
ファンタジー
【絶対に『勇者』にならないし、もう『魔王』とは戦わないんだから!】
かつて世界を救うために立ち上がった1人の男。名前はエルク=レヴェントン。勇者だ。
エルクは世界で唯一勇者の試練を乗り越え、レベルも最大の100。つまり人類史上最強の存在だったが魔王の力は強大だった。どうせ死ぬのなら最後に一矢報いてやりたい。その思いから最難関のダンジョンの遺物のアイテムを使う。
すると目の前にいた魔王は消え、そこには1人の女神が。
「ようこそいらっしゃいました私は女神リディアです」
女神リディアの話しなら『もう一度人生をやり直す』ことが出来ると言う。
そんなエルクは思う。『魔王を倒して世界を平和にする』ことがこんなに辛いなら、次の人生はすべての選択肢を逆に生き、このバッドエンドのフラグをすべて回避して人生を楽しむ。もう魔王とは戦いたくない!と
そしてエルクに最初の選択肢が告げられる……
「性別を選んでください」
と。
しかしこの転生にはある秘密があって……
この物語は『魔王と戦う』『勇者になる』フラグをへし折りながら第2の人生を生き抜く転生ストーリーです。
腹黒令嬢シンデレラ
篠山 猫(ささやまねこ)
ファンタジー
その昔、とある田舎にウィリアム卿と呼ばれる貴族がおりました。
ウィリアム卿にはアンヌ婦人との間にエレノアと名付けられた一人娘がおり、いささかの問題はあるものの物騒な事はない平穏な暮らしをしておりました。
その娘の愛称はエラ、「同情」「思いやり」「輝く光」という意味を持ちました。
エラが13歳を迎える頃、アンヌ婦人は病で他界してしまいます。
ほどなくしてウィリアム卿はルイーズ婦人を再婚相手として選びます。
ルイーズにはエラと歳の近いハンナとマリーの2人娘がおりました。
そして時が経ち、エラが15歳になる頃、ウィリアム卿はオルレアン公王室の伝令で遠征し、戦死してしまうのでした。
一報を聞いたルイーズは兼ねてから不倫をしていたベネテン侯爵と直ぐに再婚して屋敷から出てしまいます。
ウィリアム卿にはご子息がいなかった事から遠縁のリバース子爵が引き継ぐことになり、エラは今までの爵位や立場を失ってしまいます。
果たしてエラの運命は・・・
ここにシンデレラの新たな伝説始まる。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
異世界定食屋 八百万の日替わり定食日記 ー素人料理はじめましたー 幻想食材シリーズ
夜刀神一輝
ファンタジー
異世界定食屋 八百万 -素人料理はじめましたー
八意斗真、田舎から便利な都会に出る人が多い中、都会の生活に疲れ、田舎の定食屋をほぼただ同然で借りて生活する。
田舎の中でも端っこにある、この店、来るのは定期的に食材を注文する配達員が来ること以外人はほとんど来ない、そのはずだった。
でかい厨房で自分のご飯を作っていると、店の外に人影が?こんな田舎に人影?まさか物の怪か?と思い開けてみると、そこには人が、しかもけもみみ、コスプレじゃなく本物っぽい!?
どういう原理か知らないが、異世界の何処かの国?の端っこに俺の店は繋がっているみたいだ。
だからどうしたと、俺は引きこもり、生活をしているのだが、料理を作ると、その匂いに釣られて人が一人二人とちらほら、しょうがないから、そいつらの分も作ってやっていると、いつの間にか、料理の店と勘違いされる事に、料理人でもないので大した料理は作れないのだが・・・。
そんな主人公が時には、異世界の食材を使い、めんどくさい時はインスタント食品までが飛び交う、そんな素人料理屋、八百万、異世界人に急かされ、渋々開店!?
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
全て失う悲劇の悪役による未来改変
近藤玲司
ファンタジー
変更前の名前
【すべてを失ってしまう悲劇の悪役になったが、己の力で家族やヒロインを助け、未来を変える】
ある事が原因で小説の世界に転生してしまった主人公
しかし転生先は自分が大好きだったとある小説の悪役 アクセル・アンドレ・レステンクールだった…!
そんな主人公はアクセルの末路を知っていた。家族は襲われ、姉は毒殺、妹は誘拐され、やがて全てが失っていく。そんなアクセルは人間が憎くなり、後の魔王幹部になったが、周りの部下や仲間達にも裏切られ彼は孤独の中で死んでいく。
「俺は…こいつを、こいつらの家族を救いたいだけだ…それに立ち塞がるのならどんな手を使っても蹂躙してやるよ」
彼のことを救いたいと思った主人公はアクセルの家族、ヒロインを救うためチートと呼ばれてもおかしくない狂気な力を使い、救い、そして彼自信が最凶になっていく…。
これはそんな悲劇の悪役が自分の、そして大切な人たちの未来を変えるために奮闘していく話である。
また各ヒロインとの面白おかしい日常物語でもある。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる