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003 : 障害と剣
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「マルタン、どうしたんだ?急に黙りこんで…」
「あ…あぁ、いや、なんでもないんだ。」
「俺が思うに、クロワさんはマルタンのことが気になってるんじゃないかと思うんだが…」
「馬鹿な…私達は、旅の仲間というだけだ。
それ以上の感情はないさ。」
「あんたはそう思ってても、クロワさんはそうじゃないかもしれないぜ。」
「もしそうじゃったとしたら、ややこしいことになるのう…」
そう言いながら、ルイスはおかしそうに笑っていた。
リュックの考えるようなことがあるはずがない。
こんなに長い間一緒に旅をしているのだ。
そんな気持ちがあれば、私も彼女の気持ちを感じないはずがない。
クロワが私に抱く気持ちは、おそらくは感謝の念なのだ。
私の方が助けてもらったのにも関わらず、彼女は村を出られたのは私のおかげだと何度も言ったことがある。
何らかの事情により彼女はずっとあの村を離れたいと考えながら、なかなか踏ん切りがつかなかったのだろう。
その背中を押したのが私だったということに過ぎないのだが、そのことを彼女はとても大仰に捉えているようだ。
事実、村を出た途端に彼女は別人のように変わったが、その原因もいまだわかってはいない。
彼女が自ら語らない限り、それらはすべて霧の中なのだ。
*
それからの数日間は、さらに忙しさを増した。
目の回るような忙しさの中、ついに新しい闘技場は開場の日を迎えた。
「なんだ、あの客達は…!」
私達、従業員は、開場の数時間前に着いたのだが、その時すでに入口付近には大勢の人々が列をなしていたのだ。
「やけに女が多いな。
格闘は男の方が好きなのかと思ってたが、そうでもないのかな?」
「そういえば、俳優みたいにかっこいい剣士がいるってルイスさんが言ってたじゃないか。
そのおかげで客入りがうんと増えたって…
もしかしたら、あの女性達はその人を目当てに来てるんじゃないだろうか?」
「あぁ、そうだったな!
きっとそうだ。
しかし、こんなに早くから並んでる客がいるとは…その剣士はどんな奴なんだろうな?
早く会ってみたいもんだ。」
「あ…あぁ、いや、なんでもないんだ。」
「俺が思うに、クロワさんはマルタンのことが気になってるんじゃないかと思うんだが…」
「馬鹿な…私達は、旅の仲間というだけだ。
それ以上の感情はないさ。」
「あんたはそう思ってても、クロワさんはそうじゃないかもしれないぜ。」
「もしそうじゃったとしたら、ややこしいことになるのう…」
そう言いながら、ルイスはおかしそうに笑っていた。
リュックの考えるようなことがあるはずがない。
こんなに長い間一緒に旅をしているのだ。
そんな気持ちがあれば、私も彼女の気持ちを感じないはずがない。
クロワが私に抱く気持ちは、おそらくは感謝の念なのだ。
私の方が助けてもらったのにも関わらず、彼女は村を出られたのは私のおかげだと何度も言ったことがある。
何らかの事情により彼女はずっとあの村を離れたいと考えながら、なかなか踏ん切りがつかなかったのだろう。
その背中を押したのが私だったということに過ぎないのだが、そのことを彼女はとても大仰に捉えているようだ。
事実、村を出た途端に彼女は別人のように変わったが、その原因もいまだわかってはいない。
彼女が自ら語らない限り、それらはすべて霧の中なのだ。
*
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「なんだ、あの客達は…!」
私達、従業員は、開場の数時間前に着いたのだが、その時すでに入口付近には大勢の人々が列をなしていたのだ。
「やけに女が多いな。
格闘は男の方が好きなのかと思ってたが、そうでもないのかな?」
「そういえば、俳優みたいにかっこいい剣士がいるってルイスさんが言ってたじゃないか。
そのおかげで客入りがうんと増えたって…
もしかしたら、あの女性達はその人を目当てに来てるんじゃないだろうか?」
「あぁ、そうだったな!
きっとそうだ。
しかし、こんなに早くから並んでる客がいるとは…その剣士はどんな奴なんだろうな?
早く会ってみたいもんだ。」
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