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「好きな人ならいる。」

意外な答えに、心臓が飛び跳ねた。



「それはまだ告白してないってことですか?」

「いや、告白はした。
ただ、そこからがまだ…」

「えっ!?まさか、人妻とか?」

「まさか。そんなんじゃないよ。
俺がまだ信頼されてないだけのことさ。」



樹はどういうつもりで、こんなことを言うんだろう?
私は動揺を悟られないように、じっと俯いていた。



「なるほど。樹トレーナーの方が、より彼女に惚れてるってわけですね。
それで、勝算はどうなんですか?
振り向いてもらえそうですか?」

「当たり前だろ。
俺は絶対に諦めない。」

「その気持ち、よくわかります。
実は、私、樹トレーナーのことが好きになったんです。
樹トレーナーに好きな人がいても構いません。
私も絶対に諦めません。」



私は思わず頭を上げ、陽の顔を見てしまった。
確かに、告白するとは言ってたけど、まさかこんなに早く、しかもこんな形でするとは思わなかったから。



陽は、そんな私とは裏腹に、余裕の顔で微笑んでいた。
ふと見ると、樹もびっくりしたような顔をしていた。
私と目が合い、樹は私に救いを求めるような表情を浮かべた。
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