174 / 201
side かおり
3
しおりを挟む
私の目の前で、さらに信じられないことが起こった。
瑠威が私の足元に跪いたのだ。
「かおり…
俺を捨てないでくれ……」
「る、瑠威…何を……」
私の足元で小さくなって、瑠威は彼には似つかわしくないことを口にした。
「俺はおまえがいないと生きていけない…」
そう言った瑠威の背中が泣いていた…
わなわなと震え、いつもの彼とはまるで違って、とても頼りなく見えた。
「や、やめて、瑠威!」
立たせようとしても、瑠威はまるで力の抜けた人形のように、その場にうずくまったままだった。
「俺…かおりがいないとだめなんだ…」
「何言ってるの!
あなたはこれからメジャーデビューするんでしょ!?
メジャーはあなたの夢だったじゃない。
メンバーみんなの夢でしょう!」
「あぁ、そうだ…メジャーデビューは俺の大切な夢だった…
ずっと夢見てた…
だけど、おまえは…それ以上に大切なものだ。
おまえさえいてくれるなら…俺はバンドなんてやめてもいい…!」
「瑠威…!」
私は瑠威の身体を抱き締めていた。
さっきまで必死に止めていた涙が、堰を切ったように流れていた。
瑠威がそこまで私のことを想っててくれたなんて…
こんな私のことを…
何もかも台無し…
でも、もうそんなことすらも考えられなくなっていた。
目の前の瑠威が愛しくてたまらなくて…
瑠威を抱きしめた手を、私はもう放すことが出来ないでいた。
瑠威が私の足元に跪いたのだ。
「かおり…
俺を捨てないでくれ……」
「る、瑠威…何を……」
私の足元で小さくなって、瑠威は彼には似つかわしくないことを口にした。
「俺はおまえがいないと生きていけない…」
そう言った瑠威の背中が泣いていた…
わなわなと震え、いつもの彼とはまるで違って、とても頼りなく見えた。
「や、やめて、瑠威!」
立たせようとしても、瑠威はまるで力の抜けた人形のように、その場にうずくまったままだった。
「俺…かおりがいないとだめなんだ…」
「何言ってるの!
あなたはこれからメジャーデビューするんでしょ!?
メジャーはあなたの夢だったじゃない。
メンバーみんなの夢でしょう!」
「あぁ、そうだ…メジャーデビューは俺の大切な夢だった…
ずっと夢見てた…
だけど、おまえは…それ以上に大切なものだ。
おまえさえいてくれるなら…俺はバンドなんてやめてもいい…!」
「瑠威…!」
私は瑠威の身体を抱き締めていた。
さっきまで必死に止めていた涙が、堰を切ったように流れていた。
瑠威がそこまで私のことを想っててくれたなんて…
こんな私のことを…
何もかも台無し…
でも、もうそんなことすらも考えられなくなっていた。
目の前の瑠威が愛しくてたまらなくて…
瑠威を抱きしめた手を、私はもう放すことが出来ないでいた。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
愛しのカレはV(ヴィジュアル)系
ルカ(聖夜月ルカ)
恋愛
私が好きになったのは、パパ(?)と同じVisual系のバンドマン!
「秘密のカレはV(ヴィジュアル)系」の続編です。
今回は、かおりの娘・望結のお話です。
※表紙はリカオ様に描いていただきました。

病弱令嬢ですが愛されなくとも生き抜きます〜そう思ってたのに甘い日々?〜
白川
恋愛
病弱に生まれてきたことで数多くのことを諦めてきたアイリスは、無慈悲と噂される騎士イザークの元に政略結婚で嫁ぐこととなる。
たとえ私のことを愛してくださらなくても、この世に生まれたのだから生き抜くのよ────。
そう意気込んで嫁いだが、果たして本当のイザークは…?
傷ついた不器用な二人がすれ違いながらも恋をして、溺愛されるまでのお話。

最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。

〖完結〗王女殿下の最愛の人は、私の婚約者のようです。
藍川みいな
恋愛
エリック様とは、五年間婚約をしていた。
学園に入学してから、彼は他の女性に付きっきりで、一緒に過ごす時間が全くなかった。その女性の名は、オリビア様。この国の、王女殿下だ。
入学式の日、目眩を起こして倒れそうになったオリビア様を、エリック様が支えたことが始まりだった。
その日からずっと、エリック様は病弱なオリビア様の側を離れない。まるで恋人同士のような二人を見ながら、学園生活を送っていた。
ある日、オリビア様が私にいじめられていると言い出した。エリック様はそんな話を信じないと、思っていたのだけれど、彼が信じたのはオリビア様だった。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。
梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。
王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。
第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。
常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。
ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。
みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。
そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。
しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
だが夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)


バイバイ、旦那様。【本編完結済】
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
妻シャノンが屋敷を出て行ったお話。
この作品はフィクションです。
作者独自の世界観です。ご了承ください。
7/31 お話の至らぬところを少し訂正させていただきました。
申し訳ありません。大筋に変更はありません。
8/1 追加話を公開させていただきます。
リクエストしてくださった皆様、ありがとうございます。
調子に乗って書いてしまいました。
この後もちょこちょこ追加話を公開予定です。
甘いです(個人比)。嫌いな方はお避け下さい。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる