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side 瑠威
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「瑠威……」
「ただいま。
あ…昨夜はクロウん家に泊めてもらったんだ。」
「……そう。」
何気ない会話が却ってよそよそしい。
(かおり……)
かおりの目は真っ赤だった…きっと、泣いてたんだ。
やっぱり、昨日の話にはなにか裏があるんだと俺は実感した。
「かおり…俺、腹減ってるんだけど…」
「瑠威……昨日話したよね?」
「なにかがっつりしたものが良いな。」
「瑠威…!
……話をはぐらかせないで!」
かおりは赤い目で俺を睨み付ける。
「かおり……」
「やめて!なにするの?」
俺はかおりを無理やり抱き締め、唇を重ねた。
いつもと変わらない柔らかな唇…何度も何度も口づけを交わした慣れきった唇…
かおりは、顔を背けながら、俺の腕を必死に振りほどこうとする。
「やめて!瑠威!
私には好きな人がいるって言ったでしょう!」
かおりは激しく抵抗し、厳しい口調で言い放つ。
「だったら、ここに呼べよ!
今すぐに、そいつを…!」
「ええ、いいわ!」
感情的になったかおりは、どこかに電話をかけ始めた。
「瑠威……」
「ただいま。
あ…昨夜はクロウん家に泊めてもらったんだ。」
「……そう。」
何気ない会話が却ってよそよそしい。
(かおり……)
かおりの目は真っ赤だった…きっと、泣いてたんだ。
やっぱり、昨日の話にはなにか裏があるんだと俺は実感した。
「かおり…俺、腹減ってるんだけど…」
「瑠威……昨日話したよね?」
「なにかがっつりしたものが良いな。」
「瑠威…!
……話をはぐらかせないで!」
かおりは赤い目で俺を睨み付ける。
「かおり……」
「やめて!なにするの?」
俺はかおりを無理やり抱き締め、唇を重ねた。
いつもと変わらない柔らかな唇…何度も何度も口づけを交わした慣れきった唇…
かおりは、顔を背けながら、俺の腕を必死に振りほどこうとする。
「やめて!瑠威!
私には好きな人がいるって言ったでしょう!」
かおりは激しく抵抗し、厳しい口調で言い放つ。
「だったら、ここに呼べよ!
今すぐに、そいつを…!」
「ええ、いいわ!」
感情的になったかおりは、どこかに電話をかけ始めた。
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