上 下
89 / 201
すっきりともやもやと

しおりを挟む




 「おかえり。」

 「あれっ!?ママ、帰ってたの?」

 家に帰ると、ママの方が先に帰ってた。



 「仕事、早くに終わったの?」

 「早くってわけでもないけど、まぁね…」

 「あれ…それじゃあ、打ち上げくらいは間に合ったんじゃないの?」

 「うん…でも、別にそこまでしなくても……」

なんだろう?
ママの顔がなんとなく寂しそうだ。



 (……まさか、瑠威と喧嘩でも……?)



 「ねぇ、ママ…」

 「なぁに?」

 「えっと……」

やっぱりそういうことは聞かない方が良いかな。
うん、そうだよね。
そんなこと聞いちゃ、却って気まずくなるよね…



「どうかしたの?」

 「あ…あの…お腹減ってるんだけど…なにかある?」

 「ごはんの支度ならしてあるわよ。」

 「そっか、良かった…じゃ、着替えてくるね。」

 私は荷物を抱えて部屋に向かった。
いつも、ライブの後は、ライブハウスの最寄り駅のトイレでささっと着替えて帰って来る。
つけまつげを外すことも忘れない。
 璃愛から望結に戻って、何気ない顔をして家に戻る。
いつもはたいてい帰った時にママは家にいないから、感じることもなかったけれど、変装道具を持ってそそくさに部屋に入ると、ちょっとした罪悪感のようなものを感じた。
 別に隠すこともないんだけど、かといって大っぴらにライブに行くのもまだどこか抵抗がある。



 (いつか、こんなことしないでライブに行ける日は来るのかなぁ?)

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

それについては冤罪ですが、私は確かに悪女です

基本二度寝
恋愛
貴族学園を卒業のその日。 卒業のパーティで主役の卒業生と在校生も参加し、楽しい宴となっていた。 そんな場を壊すように、王太子殿下が壇上で叫んだ。 「私は婚約を破棄する」と。 つらつらと論う、婚約者の悪事。 王太子の側でさめざめと泣くのは、どこぞの令嬢。 令嬢の言う悪事に覚えはない。 「お前は悪女だ!」 それは正解です。 ※勢いだけ。

この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!

めーめー
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。 だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。 「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」 そこから彼女は義理の弟、王太子、公爵令息、伯爵令息、執事に出会い彼女は彼らに愛されていく。 作者のめーめーです! この作品は私の初めての小説なのでおかしいところがあると思いますが優しい目で見ていただけると嬉しいです! 投稿は2日に1回23時投稿で行きたいと思います!!

醜いので引きこもっていた俺が、絶世の美女と同居始めました(彼女が積極的で困ります)。

花野はる
恋愛
美醜逆転、現代バージョンを書いてみました。 小説の練習を兼ねて、三人称で書いてみました。 メインの「王宮の片隅で〜」のストックがあるときに書くので不定期更新です。 小説の作法とかよく分からず創作して来たので、出来るだけそこらへんを意識して書いています。 文法とか、間違いがあれば、是非ご指摘をいただけたら嬉しいです。

処理中です...