Gift

004. 大神殿

２

＊




「やっと着いたな。
さぁ、さっさと済ませてしまおうぜ。」

金星が間近に見える。
後は、探査機を地表に降ろすだけだ。
ここに着くまで、ハリーとは何の問題もなかった。
僕は少し考え過ぎていたようだ。



「じゃあ、アラン…探査機の最終チェックを頼む。」

「わかった。」

僕は探査機内部に乗り込み、最終チェックに取り掛かった。



（……え！？）



不意に感じた振動……
窓の外を見ると、だんだんと地表に近付いている。



「八、ハリー！
僕はまだ探査機の中にいる！
ハリー！ハリー！」



ハリーからの返事はなかった。
探査機は僕を乗せたまま、切り離されたのだ。