Gift

097. 決戦

３

「半次郎様、本当にどうもありがとうございました。
これで、私達の伝説は後世に語り継げられることでしょう。」

 「そうか、良かったな。では…」

 「待ってください！」

 立ち去ろうとした半次郎を犬が引き留めました。



 「あなたの腕を見込んで、もうひとつお願いがあります。」

 「まだあるのか…一体、何なんだ？」

 「実は、私達の星では、現在生き残りをかけた決戦の真っ最中なのです。
あなたに来ていただけたら、きっと我が星が勝つことが出来るでしょう。
どうか、助けていただけないでしょうか？
もし、助けていただけるなら、鬼の財宝はこのままあなたに差し上げます。」

 財宝に目が眩んだわけではありませんが、確かに魅力的なものではあります。
 半次郎は腕を組み、考えます。



 「しかし、私には仕事が有る。
 他所の星に行くとなると、長い間仕事を休むことになり、周りの者にも迷惑をかけてしまう。」

 「大丈夫です。この星の一日は私たちの星では一年になります。
だから、そんなに長くここを離れることにはなりません。
あ、そうだ。あなたがここにいない間は、半次郎さんのアンドロイドを置いていきましょう。
それなら、あなたがいなくなったことを誰にも気付かれません。」

 「あんどろいど？……なんだ？それは…」

 「あなたの影武者のようなものです。
その者に仕事をさせておきます。」

 「……そうか、わかった。」

 半次郎には、いまひとつ、意味がよくわかりませんでしたが、とりあえず承諾しました。
 犬の案内で、半次郎は宇宙船に乗り込みました。
そこで、半次郎のアンドロイドを作り、それから、半次郎や犬たちを乗せた宇宙船は、犬たちの故郷の星に向かって出発しました。