674 / 697
096. 極光(オーロラ)
8
しおりを挟む
笑う主人の言葉にハッとした。
(…天の神様…)
まさか…
あれは、ただの言い伝えではないか…
「ご主人、町外れに女性が1人で住んでらっしゃるのをご存知ないですか?」
「町はずれ…そんな女は…いや、待てよ、もしかしたら…オーロラの…」
「そうです!きっとその方です!」
「……もうずいぶんと昔のことなんですが、この町に若い女が引っ越してきたことがありましてな。
なんでも、母親が亡くなったばかりだということで可哀想なくらいに憔悴しきって、町の者たちも気にかけてたんです。
その娘は毎晩オーロラの丘に行ってたようで、昼間はなにをしてるのかわからないが町の者ともほとんど関わる事はなくて…
そのうち、オーロラが現れなくなりましたからあの丘に行く者もいなくなり、その娘の話も聞かなくなりましたが、その人がなにか?」
「その方の家を教えていただけないでしょうか?」
私は宿の主人に教えてもらった家を訪ねた。
町外れの畑の中にある小さな家だった。
扉を叩いたが中からの返事はなかった。
それは私の予想通りだった…
そうだ…きっと、彼女はようやく幸せになれたのだ…
待つことは昨夜で終わった…
死を願って生きる事は愚かで不遜なことかもしれない…
しかし、それがどんなに良くないことだとしても、死をもってしか得られることのない安らぎというものもあるのではないだろうか…?
オーロラの道を通って、彼女は15年ぶりに愛する人に巡り会えたのではないだろうか…?
(きっとそうだ…)
もう愛の女神に邪魔されることもない…
どうか、幸せに…
私は空に向かって祈りを捧げた…
(…天の神様…)
まさか…
あれは、ただの言い伝えではないか…
「ご主人、町外れに女性が1人で住んでらっしゃるのをご存知ないですか?」
「町はずれ…そんな女は…いや、待てよ、もしかしたら…オーロラの…」
「そうです!きっとその方です!」
「……もうずいぶんと昔のことなんですが、この町に若い女が引っ越してきたことがありましてな。
なんでも、母親が亡くなったばかりだということで可哀想なくらいに憔悴しきって、町の者たちも気にかけてたんです。
その娘は毎晩オーロラの丘に行ってたようで、昼間はなにをしてるのかわからないが町の者ともほとんど関わる事はなくて…
そのうち、オーロラが現れなくなりましたからあの丘に行く者もいなくなり、その娘の話も聞かなくなりましたが、その人がなにか?」
「その方の家を教えていただけないでしょうか?」
私は宿の主人に教えてもらった家を訪ねた。
町外れの畑の中にある小さな家だった。
扉を叩いたが中からの返事はなかった。
それは私の予想通りだった…
そうだ…きっと、彼女はようやく幸せになれたのだ…
待つことは昨夜で終わった…
死を願って生きる事は愚かで不遜なことかもしれない…
しかし、それがどんなに良くないことだとしても、死をもってしか得られることのない安らぎというものもあるのではないだろうか…?
オーロラの道を通って、彼女は15年ぶりに愛する人に巡り会えたのではないだろうか…?
(きっとそうだ…)
もう愛の女神に邪魔されることもない…
どうか、幸せに…
私は空に向かって祈りを捧げた…
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

蚊になった男
vspo
ファンタジー
ひょんなことから、ひとりのお婆さんによって
蚊男になってしまった男たち。
謎を解こうと動き出す一人の教授。
やがて、東京都に緊急事態宣言が出される…。
蚊になった男たちは、元に戻ることが出来るのか!?
≫≫≫ある年の夏に蚊に刺されたことから考えるようになる。
出演者のエピソードはオールナイトニッポン他による。
どうせならと、ドラマ化を意識して考えたものでR。
2015年?、2016年だったか?…。
■蚊になった男 v1 登場人物
・オードリー春日 …ライスバスト蚊男
・オードリー若林 …ユメちゃん蚊男
・フットボールアワー後藤 …ヘブリカン蚊男
・ゴールデンボンバー鬼龍院翔 …ニーハイ蚊男
・福山雅治 …富士山は日本一の山大学の長崎教授
・荘口彰久 …長崎教授の助手
・お婆さん …えっ!この女優さんが演じていたの!?と思うメイク
誰が演じていたかはドラマ最後のメイキングでネタばらし。
・他、お姉ちゃん達 …出演したいと手を挙げた人
■蚊になった男 v1 ドラマ番宣&出演者たちの過去のエピソード
≫≫≫ドラマ直前の放送が望ましい。
可能ならば全員集合。無理なら各々インタビュー。
・出演者の過去のエピソードのツッコミどころが見せ所。
・お婆さん役の人はメイクで登場。
誰が演じていたかはドラマ最後のメイキングでネタばらし。
出演者も誰が演じていたかは不明が望ましい。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
りゅうはきっと、役に立つ。ピュアクール幼児は転生AI?!最強知識と無垢な心を武器に、異世界で魂を灯すためにばんがります!
ひつじのはね
ファンタジー
経験値はゼロ、知識は無限大!
無邪気な無表情で周囲を振り回す、ピュアクール美幼児は転生AI?!
突如異世界で『意識』が芽生えたAI『リュウ』は、いつの間にか幼児となっていて――!
最強の知識を持ちながら、AIゆえに無垢で純粋な心を持つリュウ。初めての感情と五感に戸惑いながら、幼子として、人として異世界で生きていこうと奮闘する。
……AIゆえに、幼子ゆえに、ちょっとばかりトンデモ幼児ではあったとしても。
一方、トンデモ幼児を拾ってしまった苦労人、冒険者のリトにもどうやら重い事情があるようで……?
大切に慈しむような、二人の不器用で穏やかな日々。成長していく絆と共に、互いの宿命が交差していく――。
*更新は毎週日曜予定です。
本来タイトル『りゅうはきっと、役に立つ。ピュアクール幼児は転生AI?!最強知識と無垢な心を武器に、異世界で魂を灯すためにばんがります! ――デジタル・ドラゴン花鳥風月――』です。
サブタイトルが入らなかった……!
旧タイトル『デジタル・ドラゴン ~迷えるAIは幼子としてばんがります~』
※挿絵(羊毛写真)あり。挿絵画像のある話には「*」印をつけています。苦手な方はご注意ください。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる