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ルカ(聖夜月ルカ)

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096. 極光(オーロラ)

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(あれは……!!)

外に出てすぐに私は空の異変に気が付いた。

光のカーテンが揺らめいている…!!

オーロラだ!

あれは、まさしくオーロラだ!

私は、白い息を切らしながらオーロラの丘を目指した。

彼女はついに15年ぶりのオーロラを見ることが出来たのだ。
どれほど喜んでいることだろう…!?



しかし…
意外なことにそこに彼女の姿はなかった。
昨夜座って話をした場所を中心にあたりを探したが、人の気配がまるでないのだ…

声をかけようとして気が付いた。
そういえば、彼女の名前を聞いていなかったことに…

仕方がないので、私は「こんばんわ!」と何度も声をかけてみたが、やはり何の返事もなかった…

どうしたのだろう?

私のように具合でも悪くなってしまったのだろうか?

しかし、彼女の家は町のはずれだということしか聞いてはいない。
様子を見にいくことは出来そうにない。

私は、昨夜と同じ場所に1人で座り、色を変えながら揺らめくオーロラを眺めていた。

私がみつめているのを知って、わざと大袈裟に踊ってくれている貴婦人のドレスのようにも見える。

私は時間も寒さをも忘れ、オーロラの美しさに魅了されていた。
それとも、それは風邪の熱のせいだったのか…

オーロラは夜明け前に見えなくなった…
その後も私は夜が明けるまでその場で彼女を待ったが、彼女はとうとう姿を見せなかった…

「お客さん!やっぱりまたでかけてたんですね!
そんな身体で…大丈夫だったんですか…?!」

宿の主人は私のことを心配してくれていたようだ。

「ご心配をかけて申し訳ありません。
おかげさまで、なんとか大丈夫です…
それよりの、ご主人!
昨夜、オーロラが出たんですよ!!」

「オーロラが…本当ですか?」

「ええ…私もまさか見られるなんて思っていませんでした。
運が良かったとしか言えません。」

「オーロラが…
いやぁ、奇跡だ!
お客さんのおっしゃる通り、あなたは本当に運が良いですよ!
天の神様にも連れて行かれずに良かったですな。」
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