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096. 極光(オーロラ)
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その晩もやはりオーロラは現れることはなく、夜が明け始めた頃私達は別れた。
「明日もいらっしゃるのですか?」
「ええ…私は毎日…」
「…では、私もまた来ます…」
宿に戻り私はそのまま眠り、夕方近くなって起きていくと主人が温かい食事を用意してくれていた。
風邪をひいてしまったのか、なんだか頭がフラフラする。
「昨夜はずいぶん遅くまで外にいらっしゃったんですね?」
「そうなのです。
結局、明け方近くまで…」
「そんなに遅くまで!
お客さんは本当に変わったお方だ…」
主人は呆れたような顔をして私をみつめた。
「おかげでなんだか風邪をひいてしまったようです。」
「そりゃあそうですよ。
あんな寒い所にいたんだ…今日はゆっくり休まれた方が良い。」
「そうですね…しばらく休みます。」
「しばらくって…まさか今夜もオーロラを見にいかれるおつもりじゃないでしょうな。」
「そのつもりですが…」
「それはやめといた方が良いですよ。
風邪が悪化したら大変です。
それに、オーロラには怖い伝説もあるんですよ。」
主人は、声を潜めてそう言った。
「怖い伝説…?」
「ええ…オーロラはあの世とこの世を結ぶ道…
あの道を通って天の神様が降りてきて、この世にさ迷う悪霊を天界に連れて行くそうですよ。
だから、オーロラの近くにいたら、悪霊と間違えて天界に連れて行かれるってね…
ま、とにかく今夜はゆっくりお休みなさいな。」
子供が夜遅くに出歩かないために作られた言い伝えなのだろう…
おなかはすいているはずなのに食欲がない。
私はほんの僅かを口にしただけで部屋に戻って横になった。
だんだんと寒気が増して来る。
頭痛もして来た。
やはり今夜は無理のようだ…
気分の悪さを我慢して横になっているうちに私は眠っていたようだ。
窓から外を見るとあたりはもう真っ暗だった。
民家の明かりも消えている。
しばらく眠ったおかげで、先ほどよりは気分も頭痛もずいぶんとマシになっていた。
少し迷ったが、彼女にもう一度会いたい気がして、私はマントを羽織り外へ飛び出した。
「明日もいらっしゃるのですか?」
「ええ…私は毎日…」
「…では、私もまた来ます…」
宿に戻り私はそのまま眠り、夕方近くなって起きていくと主人が温かい食事を用意してくれていた。
風邪をひいてしまったのか、なんだか頭がフラフラする。
「昨夜はずいぶん遅くまで外にいらっしゃったんですね?」
「そうなのです。
結局、明け方近くまで…」
「そんなに遅くまで!
お客さんは本当に変わったお方だ…」
主人は呆れたような顔をして私をみつめた。
「おかげでなんだか風邪をひいてしまったようです。」
「そりゃあそうですよ。
あんな寒い所にいたんだ…今日はゆっくり休まれた方が良い。」
「そうですね…しばらく休みます。」
「しばらくって…まさか今夜もオーロラを見にいかれるおつもりじゃないでしょうな。」
「そのつもりですが…」
「それはやめといた方が良いですよ。
風邪が悪化したら大変です。
それに、オーロラには怖い伝説もあるんですよ。」
主人は、声を潜めてそう言った。
「怖い伝説…?」
「ええ…オーロラはあの世とこの世を結ぶ道…
あの道を通って天の神様が降りてきて、この世にさ迷う悪霊を天界に連れて行くそうですよ。
だから、オーロラの近くにいたら、悪霊と間違えて天界に連れて行かれるってね…
ま、とにかく今夜はゆっくりお休みなさいな。」
子供が夜遅くに出歩かないために作られた言い伝えなのだろう…
おなかはすいているはずなのに食欲がない。
私はほんの僅かを口にしただけで部屋に戻って横になった。
だんだんと寒気が増して来る。
頭痛もして来た。
やはり今夜は無理のようだ…
気分の悪さを我慢して横になっているうちに私は眠っていたようだ。
窓から外を見るとあたりはもう真っ暗だった。
民家の明かりも消えている。
しばらく眠ったおかげで、先ほどよりは気分も頭痛もずいぶんとマシになっていた。
少し迷ったが、彼女にもう一度会いたい気がして、私はマントを羽織り外へ飛び出した。
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