Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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092. 面影

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 「あなたは…!」

 「あぁ…君はあの時の…」



ロザリーは、ある町で、酔っ払いに絡まれた時に助けてくれた男性と再会した。



 「まさかこんな所で会うなんて…」

 一年前に出会った場所からはずいぶん離れていたため、二人はこの再会に驚き感動した。



 「あ、まだ名前を言ってなかったね。僕はロバート。」

 「私はロザリーです。」

 「良かったら、一緒に食事でもどう?」

 「は、はい。」

ふたりは近くのレストランに向かった。



 「まだ旅を続けてらしたんですね。」

 「うん、まぁね…君も旅を…?」

 「ええ……」

 「君はどこに向かっているの?」

 「行き先は決まってません。実は、私…人を探してるんです。」

 「えっ!?そうなの?」

ロバートの驚きように、ロザリーは違和感を覚えた。



 「あの…人探しに何か?」

 「実は、僕もなんだ。」

 「えっ!?あなたも人探しを…?」

 「そうなんだ…僕、実は捨て子なんだ。
 捨て子だった僕を、両親が引き取り育ててくれた。
ちょうど、母が子供を死産して酷く落ち込んでた頃らしくてね…父が、孤児院に子供をもらいに行った時に、捨てられてたのが僕なんだ。」

 「えっ!?」

ロザリーは胸の奥がざわざわと動き出すのを感じた。



 (まさか…そんなこと、あるわけない…)



 「あの…おかしなことをお訊ねしますが…あなたが探してらっしゃるのはどなたなんですか?」

 「僕の双子の兄弟だよ。僕らは双子だったらしいんだ。」

その言葉に、ロザリーの鼓動が早鐘を打ち出す。



 「で、でも…それなら、孤児院に行けばすぐにわかるんじゃ…」

 「それが…両親は僕が18の時に事故に遭って死んでしまった。
 両親が亡くなってから、祖母が、僕の出生の秘密を教えてくれたんだけど、祖母はどこの孤児院かまでは知らなかったんだ。」

ロザリーの目に、涙が浮かぶ…



「ど、どうかした?」

 「会えなかったはずだわ…」

 「えっ?どういうこと?」

 「私……いつも鏡を見ては、双子の姉妹を考えてたの…」

 「え……?」



ロザリーは自分の事情を話した。
きっと、お互いが双子の片割れだろうということも…



その後、二人はロバートの屋敷に向かい、古い使用人のひとりから孤児院の場所を聞き、ふたりが双子の兄妹であることが明確となった。
ふたりの旅は終わった。
でも、今でもロザリーの癖は直らない。
 鏡を見ては、つい話しかけてしまうその癖が…



 
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