647 / 697
092. 面影
5
しおりを挟む
*
「あなたは…!」
「あぁ…君はあの時の…」
ロザリーは、ある町で、酔っ払いに絡まれた時に助けてくれた男性と再会した。
「まさかこんな所で会うなんて…」
一年前に出会った場所からはずいぶん離れていたため、二人はこの再会に驚き感動した。
「あ、まだ名前を言ってなかったね。僕はロバート。」
「私はロザリーです。」
「良かったら、一緒に食事でもどう?」
「は、はい。」
ふたりは近くのレストランに向かった。
「まだ旅を続けてらしたんですね。」
「うん、まぁね…君も旅を…?」
「ええ……」
「君はどこに向かっているの?」
「行き先は決まってません。実は、私…人を探してるんです。」
「えっ!?そうなの?」
ロバートの驚きように、ロザリーは違和感を覚えた。
「あの…人探しに何か?」
「実は、僕もなんだ。」
「えっ!?あなたも人探しを…?」
「そうなんだ…僕、実は捨て子なんだ。
捨て子だった僕を、両親が引き取り育ててくれた。
ちょうど、母が子供を死産して酷く落ち込んでた頃らしくてね…父が、孤児院に子供をもらいに行った時に、捨てられてたのが僕なんだ。」
「えっ!?」
ロザリーは胸の奥がざわざわと動き出すのを感じた。
(まさか…そんなこと、あるわけない…)
「あの…おかしなことをお訊ねしますが…あなたが探してらっしゃるのはどなたなんですか?」
「僕の双子の兄弟だよ。僕らは双子だったらしいんだ。」
その言葉に、ロザリーの鼓動が早鐘を打ち出す。
「で、でも…それなら、孤児院に行けばすぐにわかるんじゃ…」
「それが…両親は僕が18の時に事故に遭って死んでしまった。
両親が亡くなってから、祖母が、僕の出生の秘密を教えてくれたんだけど、祖母はどこの孤児院かまでは知らなかったんだ。」
ロザリーの目に、涙が浮かぶ…
「ど、どうかした?」
「会えなかったはずだわ…」
「えっ?どういうこと?」
「私……いつも鏡を見ては、双子の姉妹を考えてたの…」
「え……?」
ロザリーは自分の事情を話した。
きっと、お互いが双子の片割れだろうということも…
その後、二人はロバートの屋敷に向かい、古い使用人のひとりから孤児院の場所を聞き、ふたりが双子の兄妹であることが明確となった。
ふたりの旅は終わった。
でも、今でもロザリーの癖は直らない。
鏡を見ては、つい話しかけてしまうその癖が…
「あなたは…!」
「あぁ…君はあの時の…」
ロザリーは、ある町で、酔っ払いに絡まれた時に助けてくれた男性と再会した。
「まさかこんな所で会うなんて…」
一年前に出会った場所からはずいぶん離れていたため、二人はこの再会に驚き感動した。
「あ、まだ名前を言ってなかったね。僕はロバート。」
「私はロザリーです。」
「良かったら、一緒に食事でもどう?」
「は、はい。」
ふたりは近くのレストランに向かった。
「まだ旅を続けてらしたんですね。」
「うん、まぁね…君も旅を…?」
「ええ……」
「君はどこに向かっているの?」
「行き先は決まってません。実は、私…人を探してるんです。」
「えっ!?そうなの?」
ロバートの驚きように、ロザリーは違和感を覚えた。
「あの…人探しに何か?」
「実は、僕もなんだ。」
「えっ!?あなたも人探しを…?」
「そうなんだ…僕、実は捨て子なんだ。
捨て子だった僕を、両親が引き取り育ててくれた。
ちょうど、母が子供を死産して酷く落ち込んでた頃らしくてね…父が、孤児院に子供をもらいに行った時に、捨てられてたのが僕なんだ。」
「えっ!?」
ロザリーは胸の奥がざわざわと動き出すのを感じた。
(まさか…そんなこと、あるわけない…)
「あの…おかしなことをお訊ねしますが…あなたが探してらっしゃるのはどなたなんですか?」
「僕の双子の兄弟だよ。僕らは双子だったらしいんだ。」
その言葉に、ロザリーの鼓動が早鐘を打ち出す。
「で、でも…それなら、孤児院に行けばすぐにわかるんじゃ…」
「それが…両親は僕が18の時に事故に遭って死んでしまった。
両親が亡くなってから、祖母が、僕の出生の秘密を教えてくれたんだけど、祖母はどこの孤児院かまでは知らなかったんだ。」
ロザリーの目に、涙が浮かぶ…
「ど、どうかした?」
「会えなかったはずだわ…」
「えっ?どういうこと?」
「私……いつも鏡を見ては、双子の姉妹を考えてたの…」
「え……?」
ロザリーは自分の事情を話した。
きっと、お互いが双子の片割れだろうということも…
その後、二人はロバートの屋敷に向かい、古い使用人のひとりから孤児院の場所を聞き、ふたりが双子の兄妹であることが明確となった。
ふたりの旅は終わった。
でも、今でもロザリーの癖は直らない。
鏡を見ては、つい話しかけてしまうその癖が…
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
【完結】聖獣もふもふ建国記 ~国外追放されましたが、我が領地は国を興して繁栄しておりますので御礼申し上げますね~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
婚約破棄、爵位剥奪、国外追放? 最高の褒美ですね。幸せになります!
――いま、何ておっしゃったの? よく聞こえませんでしたわ。
「ずいぶんと巫山戯たお言葉ですこと! ご自分の立場を弁えて発言なさった方がよろしくてよ」
すみません、本音と建て前を間違えましたわ。国王夫妻と我が家族が不在の夜会で、婚約者の第一王子は高らかに私を糾弾しました。両手に花ならぬ虫を這わせてご機嫌のようですが、下の緩い殿方は嫌われますわよ。
婚約破棄、爵位剥奪、国外追放。すべて揃いました。実家の公爵家の領地に戻った私を出迎えたのは、溺愛する家族が興す新しい国でした。領地改め国土を繁栄させながら、スローライフを楽しみますね。
最高のご褒美でしたわ、ありがとうございます。私、もふもふした聖獣達と幸せになります! ……余計な心配ですけれど、そちらの国は傾いていますね。しっかりなさいませ。
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
※2022/05/10 「HJ小説大賞2021後期『ノベルアップ+部門』」一次選考通過
※2022/02/14 エブリスタ、ファンタジー 1位
※2022/02/13 小説家になろう ハイファンタジー日間59位
※2022/02/12 完結
※2021/10/18 エブリスタ、ファンタジー 1位
※2021/10/19 アルファポリス、HOT 4位
※2021/10/21 小説家になろう ハイファンタジー日間 17位

自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません
月野槐樹
ファンタジー
家族と一緒に初めて王都にやってきたソーマは、王都の光景に既視感を覚えた。自分が作ったゲームの世界に似ていると感じて、異世界に転生した事に気がつく。
自作ゲームの中で作った猫執事キャラのプティと再会。
やっぱり自作ゲームの世界かと思ったけど、なぜか全く作った覚えがない乙女ゲームのような展開が発生。
何がどうなっているか分からないまま、ソーマは、結構マイペースに、今日も魔道具制作を楽しむのであった。
第1章完結しました。
第2章スタートしています。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ヒロインは始まる前に退場していました
サクラ
ファンタジー
とある乙女ゲームの世界で目覚めたのは、原作を知らない一人の少女
産まれた時点で本来あるべき道筋を外れてしまっていた彼女は、知らない世界でどう生き抜くのか。
母の愛情、突然の別れ、事故からの死亡扱いで目覚めた場所はゴミ捨て場
捨てる神あれば拾う神あり?
人の温かさに触れて成長する少女に再び訪れる試練。
そして、本来のヒロインが現れない世界ではどんな未来が訪れるのか。
主人公が7歳になる頃までは平和、ホノボノが続きます。
ダークファンタジーになる予定でしたが、主人公ヴィオの天真爛漫キャラに ダーク要素は少なめとなっております。
同作品を『小説を読もう』『カクヨム』でも配信中。カクヨム先行となっております
追いつくまで しばらくの間 0時、12時の一日2話更新としております

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
幸福サーカス団
もちもちピノ
ホラー
幸福サーカス団
なんでも願いを叶えてくれるサーカス団のお話
幸福サーカス団とは
全ての人に幸せを提供するサーカス団
でも幸せにはルールがあるんだ
なんでもいいと言ってはダメ
願いを叶えたお客様は決して団員を傷つけてはいけない。
そして願いがどの方向に行ってもサーカス団に責任はない
そんなサーカス団とお客様と不思議な事件のお話
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる