Gift

092. 面影

４

＊



 「あら…あなたは…」

 次の日、隣町へ続く街道で、ロザリーは昨夜の男性と出会った。



 「昨夜はどうもありがとうございました。」

 「僕は喧嘩には自信がないから、あんなことしか出来なくて…」

 「いえ、本当に助かりました。
……あの、ご旅行ですか？」

 「旅行ってわけじゃないんだけど…」

ふたりは何となく馬が合い、隣町までの道程を楽しく話しながら過ごした。



 （不思議…なんだか昔から知ってるような親しみを感じるわ…）



 「じゃあ、また…」

ロザリーの想いとは裏腹に、町に着いた途端、男性はすぐにどこかに消えて行った。



 （名前くらい聞いとけば良かったな…）



どこか寂しい想いを感じながら、ロザリーはいつものように町の人々に話を聞いてまわった。
しかし、その町でも、やはり、手がかりは何もみつからなかった。
そしてその次の町でも…



ロザリーは諦めることなく探し続けたが、それでも何も知ることは出来なかった。



 気が付けば、いつしか一年の時が過ぎていた。