Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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092. 面影

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 「あ、あの…この町に、私にそっくりな人はいませんか?」

ロザリーは、今日もまた新たな町を訪れていた。
けれど、残念ながら、この町でも手がかりはみつからなかった。
ロザリーは、気落ちした心を抱え、町の酒場に入って行った。
 酒場には旅人も多く訪れる。
そんな旅人の誰かが、何か手がかりを持っていないかと考えてのことだった。



だけど、ロザリーを見ても誰も反応しない。
それはつまり、誰も手がかりを持っていないということだ。



 (やっぱり、この町もだめだった…)



ロザリーは、小さな溜め息を吐いた。



 「よぉ、姉ちゃん!ひとりかい?」

ロザリーの傍に寄って来たのは、鼻の周りを真っ赤にした酔っ払いの男だった。



 「あ、あの…私、帰るところで…」

 「なんだよ、つれないこと言うなよ!
 一緒に飲もうぜ。」

 男が、ロザリーの腕を引っ張る。
ロザリーは、それを必死でふりほどこうとするが、男はしつこかった。



 「リズ、遅れてごめん!」

 若い男が、ロザリーの腕を取る。



 「え?」

 「じゃあ、行こうか!」

 「お、おい、待てよ!」

 酔っ払いの手を振り払い、ロザリーと男性は酒場の外へ駆け出した。



 *



 「……ここまで来ればもう大丈夫だよ。」

 「あ…ありがとう。」

 「じゃあ、僕はこれで…」

 「あ……」

 男性は、呆気なく去って行った。
ロザリーは、なんとなくその男性のことが気にかかり、ずっとその後ろ姿をみつめていた。
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