Gift

092. 面影

３

「あの……」

ある日、僕は仕事の帰り道、女性に声をかけられた。



 「はい、なんでしょうか？」

そこに立っていたのは、取り立ててこれといった特徴のない、若い女性だった。



 「あの…良かったら、その…お茶でも飲みませんか？」

 「え？」

 「あ、す、すみません、突然。
お嫌だったら、断って下さい。」

 女性は明らかに焦っていて、特に悪い人だとも思えなかった。
 彼女がなぜ僕なんかに声をかけたのかもちょっと気になった。
だから、僕は彼女の誘いに応じることにした。



 「良いですよ。
 僕、少しお腹も減ってるんですが、良かったら食事をしませんか？」

 「え？あ、はい！
ありがとうございます！」

 僕達は、目に付いた近くのレストランに入ることにした。



 ＊



 「あ、あの…私、サーシャって言います。」

 席に着くと、どこか照れた様子で彼女が自己紹介をした。



 「初めまして。僕はエドワードです。
あの…なぜ、僕なんかに声をかけて下さったんですか？」

 「え？それは…その……とても素敵な方だなと思いまして。」

 彼女はそう言って俯いた。



 僕は、目立つタイプでもなければ、特に良い男だというわけでもない。
どこにでもいる、ごく一般的な男だ。
だから、彼女の言葉はすぐには信じられなかったけれど、人には好みというものがある。
たまたま、僕が彼女の好みのタイプだったということだろうか？



いつも僕の恋愛は、僕が女性を好きになることから始まる。
だから、こういう出会いはとても不思議な感じがした。



 僕らはお互いのことを話した。
 年は彼女の方が一つ年下で、最近、この町に引っ越して来たとのことだった。
 彼女とは意外とうまが合い、一緒にいてとても落ち着ける気がした。
それは、彼女も同じだったようだ。



そして、僕らはごく自然に付き合うことになった。