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087. あきんど
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「役に立てて良かったよ。
あ、俺はケンタロウっていうんだ。
それと、こいつはトカチェン。
それから、フェリーシアだ。」
「うわぁ…
半獣人とはめったに出会わへんのに、トカゲ族も一緒やなんて今日はなんやすごい日やなぁ…
……それで…フェリーシアって、どこにおんのん?」
猫獣人はそう言いながら、あたりをきょろきょろと見回している。
「えっ!?」
僕とケンタロウは顔を見合わせた。
フェリーシアは僕のすぐ傍にいるのに、猫獣人はどうしてそれに気付かないんだろう?
「あのねぇ…
妖精って、普通は見えないもんなのよ。
あんた達はたまたま私のことが見えたみたいだけど、普通は見えないんだからそのつもりでね!」
「えっ!そ、そうなのか!?」
「そんなことは最初に言っておいてくれないと…」
「……あんたら…どないかしたんか!?」
振り向くと、猫獣人が不思議そうな顔をして僕とケンタロウを見ていた。
「な、なんでもないよ。
あ、そ、そうだ、君…名前は?」
僕は、フェリーシアのことから気を逸らせるために猫獣人に名前を尋ねた。
「あ、まだ言うてなかったな。
わてはロッシーや。
よろしくな、トカチェン!」
「よろしくね、ロッシー。
あの…それから…僕の名前はトカチェンじゃなくてトカチェアノフなんだ。」
「えっ!?そうだっけ?」
ケンタロウはまだ僕の名前を覚えていなかったらしく、本気で驚いていた。
「そうだよ。
僕は……」
「そしたら、とかやんでええやん。
トカチェアノフなんて長ったらしい名前、舌噛みそうやわ。」
「とかやんか…それだったら覚えやすくて良いな!
うん、じゃ、そうしよう!
今日からおまえはとかやんだ!」
僕は、ぽかんと口を開けたまま、呆気に取られていた。
神父様につけてもらったその名前が特別気に入ってたわけではないけど、僕に承諾もなく勝手にそんなことを決めてしまうなんて……
僕はすっかり不機嫌になってしまった。
だけど、きっと二人はそんなことには気付いていない。
僕の表情はどんな時にも大きな変化はほとんどないから。
あ、俺はケンタロウっていうんだ。
それと、こいつはトカチェン。
それから、フェリーシアだ。」
「うわぁ…
半獣人とはめったに出会わへんのに、トカゲ族も一緒やなんて今日はなんやすごい日やなぁ…
……それで…フェリーシアって、どこにおんのん?」
猫獣人はそう言いながら、あたりをきょろきょろと見回している。
「えっ!?」
僕とケンタロウは顔を見合わせた。
フェリーシアは僕のすぐ傍にいるのに、猫獣人はどうしてそれに気付かないんだろう?
「あのねぇ…
妖精って、普通は見えないもんなのよ。
あんた達はたまたま私のことが見えたみたいだけど、普通は見えないんだからそのつもりでね!」
「えっ!そ、そうなのか!?」
「そんなことは最初に言っておいてくれないと…」
「……あんたら…どないかしたんか!?」
振り向くと、猫獣人が不思議そうな顔をして僕とケンタロウを見ていた。
「な、なんでもないよ。
あ、そ、そうだ、君…名前は?」
僕は、フェリーシアのことから気を逸らせるために猫獣人に名前を尋ねた。
「あ、まだ言うてなかったな。
わてはロッシーや。
よろしくな、トカチェン!」
「よろしくね、ロッシー。
あの…それから…僕の名前はトカチェンじゃなくてトカチェアノフなんだ。」
「えっ!?そうだっけ?」
ケンタロウはまだ僕の名前を覚えていなかったらしく、本気で驚いていた。
「そうだよ。
僕は……」
「そしたら、とかやんでええやん。
トカチェアノフなんて長ったらしい名前、舌噛みそうやわ。」
「とかやんか…それだったら覚えやすくて良いな!
うん、じゃ、そうしよう!
今日からおまえはとかやんだ!」
僕は、ぽかんと口を開けたまま、呆気に取られていた。
神父様につけてもらったその名前が特別気に入ってたわけではないけど、僕に承諾もなく勝手にそんなことを決めてしまうなんて……
僕はすっかり不機嫌になってしまった。
だけど、きっと二人はそんなことには気付いていない。
僕の表情はどんな時にも大きな変化はほとんどないから。
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