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087. あきんど
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「へぇ~~…」
「ふ~ん…」
僕が紹介したフェリーシアとケンタロウは、お互いに相手を穴の開くほどみつめあっていた。
「妖精なんてもの、本当にいるんだな!?
いや、いるのはいるかもって思ってたけど、こんなにはっきりと目に見えるもんだとは思ってなかったよ。」
「あたしも、半獣人のことを聞いたことはあったけど、実際に見るのは初めてよ!
本当に半分ずつなんだね!」
フェリーシアとケンタロウは、口々に相手の感想を言い合っている。
いつもならじろじろ見られるのは僕なのに、今のこの二人にとっては僕なんてまるで普通の人間のような扱いだ。
それが、どこか不思議なことのように感じられた。
「こいつがトカゲ族の国を一緒に探してくれることになったんだな?」
「そうなんだ。
フェリーシアははっきりとトカゲの国のことを知ってるわけじゃないけど、この世界には三百年も住んでるから、いろんなことを知ってるらしいよ。」
「さ、三百年!?妖精の寿命ってそんなに長いのか!?
……って、そんなことより、そんなに長生きなんだったら俺達の種族の国のことは知らないか?」
「長生き、長生きって、人のことをまるでおばあちゃんみたいに言わないでよ!
妖精と人間の世界では時間の流れ方が少し違うだけなの!失礼ね!!」
フェリーシアは、ケンタロウの言葉に気分を壊したらしく、口を尖らせてそっぽを向いた。
「ごめん、悪かったよ。
謝るから、もし知ってるなら教えてくれよ…」
ケンタロウはさっきとは違う、すがるような声を出した。
彼はよほど自分の種族の国に行きたいみたいだ。
「……仕方ないわね。
とにかく、半獣人の国はとてもみつかりにくいってことは聞いてるわ。
それに、外の世界に出て来る者は滅多にいないって。
詳しいことは知らないけど、あたし達妖精と同じでこの世界と別の世界との狭間のような所にあるのは確かみたいだわ。」
「なんだって!この世界と別の世界との狭間!?
そんなもん、どうやって探せば良いってんだ?」
「だから、あたしは詳しいことは知らないって言ってるでしょ?」
フェリーシアは苛立った様子でそう言うと、ケンタロウの顔の前をパタパタと羽ばたいた。
「ふ~ん…」
僕が紹介したフェリーシアとケンタロウは、お互いに相手を穴の開くほどみつめあっていた。
「妖精なんてもの、本当にいるんだな!?
いや、いるのはいるかもって思ってたけど、こんなにはっきりと目に見えるもんだとは思ってなかったよ。」
「あたしも、半獣人のことを聞いたことはあったけど、実際に見るのは初めてよ!
本当に半分ずつなんだね!」
フェリーシアとケンタロウは、口々に相手の感想を言い合っている。
いつもならじろじろ見られるのは僕なのに、今のこの二人にとっては僕なんてまるで普通の人間のような扱いだ。
それが、どこか不思議なことのように感じられた。
「こいつがトカゲ族の国を一緒に探してくれることになったんだな?」
「そうなんだ。
フェリーシアははっきりとトカゲの国のことを知ってるわけじゃないけど、この世界には三百年も住んでるから、いろんなことを知ってるらしいよ。」
「さ、三百年!?妖精の寿命ってそんなに長いのか!?
……って、そんなことより、そんなに長生きなんだったら俺達の種族の国のことは知らないか?」
「長生き、長生きって、人のことをまるでおばあちゃんみたいに言わないでよ!
妖精と人間の世界では時間の流れ方が少し違うだけなの!失礼ね!!」
フェリーシアは、ケンタロウの言葉に気分を壊したらしく、口を尖らせてそっぽを向いた。
「ごめん、悪かったよ。
謝るから、もし知ってるなら教えてくれよ…」
ケンタロウはさっきとは違う、すがるような声を出した。
彼はよほど自分の種族の国に行きたいみたいだ。
「……仕方ないわね。
とにかく、半獣人の国はとてもみつかりにくいってことは聞いてるわ。
それに、外の世界に出て来る者は滅多にいないって。
詳しいことは知らないけど、あたし達妖精と同じでこの世界と別の世界との狭間のような所にあるのは確かみたいだわ。」
「なんだって!この世界と別の世界との狭間!?
そんなもん、どうやって探せば良いってんだ?」
「だから、あたしは詳しいことは知らないって言ってるでしょ?」
フェリーシアは苛立った様子でそう言うと、ケンタロウの顔の前をパタパタと羽ばたいた。
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