597 / 697
086. 途方に暮れる
1
しおりを挟む
「ねぇ、君。
確か、来週の火曜日、君の誕生日だったよね?」
「真澄さん、覚えててくれたのん?
嬉しいのねん!」
「良かったら、うちで君の誕生パーティをやらないか?
友達を呼んで、騒ごうじゃないか。」
真澄はそう言って、にっこりと微笑む。
「えっ?本当に?」
「ちょうど今週は家に誰もいないんだ。
父がオーストリアで開かれる学会に招かれててね。
母もそれに同行してるんだ。
準備はこっちですべてやるから、君は友達にパーティのことを知らせるだけで良い。」
「そうなのん?
じゃあ、お願いするのねん。
真澄さん、ありがとなのねん!」
「あぁ、任せておきたまえ。」
*
「……っていうわけで、真澄さんが俺のためにパーティをやってくれることになったのねん!
だから、世夜も来るのねん!」
「……まさか…!」
「どうしたのん?」
「まさか、真澄さん…
パーティの料理を自分で作る気なんじゃあ…?」
思いがけない世夜の一言で、メリーは凍りついた。
真澄さんはとんでもない味覚オンチなのだ。
いや、味覚オンチ等という生易しいものではない。
ゲテモノ愛好家とでも言うべきか、この世のものとは思えないような料理を好むのだ。
女性と見まごう程の美貌とは裏腹に、真澄さんの大好物は納豆とくさやの干物とシュールストレミングと臭豆腐だという。
ネバネバしたものや臭いものを見かけると、自然と吸い寄せられてしまうというのだから恐ろしい。
先日、強制的に真澄さんの手作りカレーを食べさせられた二人は、あの時の恐怖を思い出していた。
あやうく三途の川を渡ってしまいそうになったあの悪夢のカレーライスのことを…
「うっ……
メリー、悪いけど俺は行けない…」
「世夜、ずるいのねん!
だったら、俺もいかないのねん!」
「おまえの誕生におまえが行かなくてどうすんだ。
真澄さんのことだ…きっと、家まで迎えに来るぞ…」
「世夜、なんとかして!
俺はまだ死にたくないのねん!」
「う~ん…」
メリーと世夜は対策を考える。
なんとしても真澄さんに料理を作らせるわけにはいかないのだ…!
確か、来週の火曜日、君の誕生日だったよね?」
「真澄さん、覚えててくれたのん?
嬉しいのねん!」
「良かったら、うちで君の誕生パーティをやらないか?
友達を呼んで、騒ごうじゃないか。」
真澄はそう言って、にっこりと微笑む。
「えっ?本当に?」
「ちょうど今週は家に誰もいないんだ。
父がオーストリアで開かれる学会に招かれててね。
母もそれに同行してるんだ。
準備はこっちですべてやるから、君は友達にパーティのことを知らせるだけで良い。」
「そうなのん?
じゃあ、お願いするのねん。
真澄さん、ありがとなのねん!」
「あぁ、任せておきたまえ。」
*
「……っていうわけで、真澄さんが俺のためにパーティをやってくれることになったのねん!
だから、世夜も来るのねん!」
「……まさか…!」
「どうしたのん?」
「まさか、真澄さん…
パーティの料理を自分で作る気なんじゃあ…?」
思いがけない世夜の一言で、メリーは凍りついた。
真澄さんはとんでもない味覚オンチなのだ。
いや、味覚オンチ等という生易しいものではない。
ゲテモノ愛好家とでも言うべきか、この世のものとは思えないような料理を好むのだ。
女性と見まごう程の美貌とは裏腹に、真澄さんの大好物は納豆とくさやの干物とシュールストレミングと臭豆腐だという。
ネバネバしたものや臭いものを見かけると、自然と吸い寄せられてしまうというのだから恐ろしい。
先日、強制的に真澄さんの手作りカレーを食べさせられた二人は、あの時の恐怖を思い出していた。
あやうく三途の川を渡ってしまいそうになったあの悪夢のカレーライスのことを…
「うっ……
メリー、悪いけど俺は行けない…」
「世夜、ずるいのねん!
だったら、俺もいかないのねん!」
「おまえの誕生におまえが行かなくてどうすんだ。
真澄さんのことだ…きっと、家まで迎えに来るぞ…」
「世夜、なんとかして!
俺はまだ死にたくないのねん!」
「う~ん…」
メリーと世夜は対策を考える。
なんとしても真澄さんに料理を作らせるわけにはいかないのだ…!
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
異世界に来たら勇者するより旅行でしょう
はたつば
ファンタジー
大きな力を持つ者が揃った学校の一クラス。彼らは異世界へと召喚された。恩恵、魔術、兵器使用など、様々な力を転移前から持っていた彼らは異世界で何を見るのか。クラス内で化け物とされていた黒田 楓は居心地最悪のクラス内から抜け出すために王に頼んで旅に出た。最強な主人公が異世界を観光したり、家を建ててみたり、戦ってみたりと色々する物語です。
よくある主人公最強系がいいです。
異世界に来て美少女と出会う、爺と仲良くなる、国王がネタになる、かつての仲間と再会する、学園祭を満喫、別世界にいる、遊ぶ←イマココ
タイトル詐欺と言う人もいるかもしれないが、逆に考えよう。まだ、本編は始まっていないと・・・
九十話を超えて、タイトル回収の目処が・・・。
ストーリー性とかがちょっと(どころではなく)欠けているので、暇な人だけどうぞ
確定の更新日は毎週土曜19時です。その他でも不定期で更新することも無きにしもなんたら。
ーーーーーーー
もう一つ、『僕達はどうしても美少女を仲間にしたい』をよろしくお願いします。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
料理を作って異世界改革
高坂ナツキ
ファンタジー
「ふむ名前は狭間真人か。喜べ、お前は神に選ばれた」
目が覚めると謎の白い空間で人型の発行体にそう語りかけられた。
「まあ、お前にやってもらいたいのは簡単だ。異世界で料理の技術をばらまいてほしいのさ」
記憶のない俺に神を名乗る謎の発行体はそう続ける。
いやいや、記憶もないのにどうやって料理の技術を広めるのか?
まあ、でもやることもないし、困ってる人がいるならやってみてもいいか。
そう決めたものの、ゼロから料理の技術を広めるのは大変で……。
善人でも悪人でもないという理由で神様に転生させられてしまった主人公。
神様からいろいろとチートをもらったものの、転生した世界は料理という概念自体が存在しない世界。
しかも、神様からもらったチートは調味料はいくらでも手に入るが食材が無限に手に入るわけではなく……。
現地で出会った少年少女と協力して様々な料理を作っていくが、果たして神様に依頼されたようにこの世界に料理の知識を広げることは可能なのか。
悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―
もいもいさん
ファンタジー
人気乙女ゲー『月と共に煌めいて~キラキラ魔法学園、ラブ注入200%~』略称『とにキラ』の世界。
エステリア・ハーブスト公爵令嬢はゲーム内の最大ライバルである悪役令嬢でどのルートでも悲惨な運命を辿る。ある日、前世の記憶を持って転生した事を知ったエステリア(5歳)は悲惨な運命を回避する為に動き出す!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる