Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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086. 途方に暮れる

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「ねぇ、君。
確か、来週の火曜日、君の誕生日だったよね?」

「真澄さん、覚えててくれたのん?
嬉しいのねん!」

「良かったら、うちで君の誕生パーティをやらないか?
友達を呼んで、騒ごうじゃないか。」

真澄はそう言って、にっこりと微笑む。



「えっ?本当に?」

「ちょうど今週は家に誰もいないんだ。
父がオーストリアで開かれる学会に招かれててね。
母もそれに同行してるんだ。
準備はこっちですべてやるから、君は友達にパーティのことを知らせるだけで良い。」

「そうなのん?
じゃあ、お願いするのねん。
真澄さん、ありがとなのねん!」

「あぁ、任せておきたまえ。」







「……っていうわけで、真澄さんが俺のためにパーティをやってくれることになったのねん!
だから、世夜も来るのねん!」

「……まさか…!」

「どうしたのん?」

「まさか、真澄さん…
パーティの料理を自分で作る気なんじゃあ…?」

思いがけない世夜の一言で、メリーは凍りついた。
真澄さんはとんでもない味覚オンチなのだ。
いや、味覚オンチ等という生易しいものではない。
ゲテモノ愛好家とでも言うべきか、この世のものとは思えないような料理を好むのだ。
女性と見まごう程の美貌とは裏腹に、真澄さんの大好物は納豆とくさやの干物とシュールストレミングと臭豆腐だという。
ネバネバしたものや臭いものを見かけると、自然と吸い寄せられてしまうというのだから恐ろしい。
先日、強制的に真澄さんの手作りカレーを食べさせられた二人は、あの時の恐怖を思い出していた。
あやうく三途の川を渡ってしまいそうになったあの悪夢のカレーライスのことを…



「うっ……
メリー、悪いけど俺は行けない…」

「世夜、ずるいのねん!
だったら、俺もいかないのねん!」

「おまえの誕生におまえが行かなくてどうすんだ。
真澄さんのことだ…きっと、家まで迎えに来るぞ…」

「世夜、なんとかして!
俺はまだ死にたくないのねん!」

「う~ん…」

メリーと世夜は対策を考える。
なんとしても真澄さんに料理を作らせるわけにはいかないのだ…! 
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