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085. 帰る場所
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「刃動~~!どこだ~~?」
『噂をすれば影…という奴だな…』
「刃動~!」
『和成ではないのか?
どうした?返事をしないのか?』
刃動はノーマンの問いかけに答えず、下を向いている。
『世話のかかる奴だな、まったく…』
ノーマンはマールの神経を動かし、マールの身体を起き上がらせると、大きな声で叫ばせた。
「和成~!!刃動はここやで~!」
「お、お前、何を!」
マールの声に気付いた和成が走って来る。
「刃動!ここにいたのか!良かった…!!」
「よ、寄せ!気色の悪い…」
刃動に思わず抱きついた和成を、刃動は手荒くはねつける。
「…刃動…昨夜はごめん。
俺が悪かった。」
「な、なんだよ!お前らしくないな。」
「いや、お前がいなくなって、俺、本当によくわかったんだ。
今までお前にどれほど助けられてたかってことが…それで…」
「やめろ!やめろ!気色悪い!
お前、熱でもあるんじゃないのか?!」
「なんだと~!
俺がこうやって素直に謝ってるのに、あんまりな言い方じゃないか!」
「なんや、やかましいな…」
『目が覚めたか…』
「…あの二人…なんか喧嘩してるみたいやけど、止めんでええんか?」
『…あれは、喧嘩ではなく、彼らのコミュニケーションなのだ。』
「そうなん?」
『ほら、見ろ…
お互いあんなことを言い合いながら、一緒に帰って行くではないか。』
「ほんまや。おかしな人らやなぁ。
ほんだら、俺らもそろそろ王都に向かおか…」
『そうだな。少し急いだ方が良さそうだぞ。』
「よっしゃ!よう寝たから全速力で行くでぇ!」
マールは、王都に向かって走り出す。
刃動と和成は、なおもつまらない口論を続けながら…お互い心の中では違う事を考えていた。
しかし、その想いを言葉にすることはない…
「…ところで、さっきの…誰なんだ…?」
「お前なぁ…
今頃そんなこと言う?
だから、お前はボケてるって言われるんだ!」
「どこがボケてるんだ!」
言葉になって出て来るのはいつもそんなことばかり…
心の中にある想いを言葉に出来る日は一体いつになることやら…
『噂をすれば影…という奴だな…』
「刃動~!」
『和成ではないのか?
どうした?返事をしないのか?』
刃動はノーマンの問いかけに答えず、下を向いている。
『世話のかかる奴だな、まったく…』
ノーマンはマールの神経を動かし、マールの身体を起き上がらせると、大きな声で叫ばせた。
「和成~!!刃動はここやで~!」
「お、お前、何を!」
マールの声に気付いた和成が走って来る。
「刃動!ここにいたのか!良かった…!!」
「よ、寄せ!気色の悪い…」
刃動に思わず抱きついた和成を、刃動は手荒くはねつける。
「…刃動…昨夜はごめん。
俺が悪かった。」
「な、なんだよ!お前らしくないな。」
「いや、お前がいなくなって、俺、本当によくわかったんだ。
今までお前にどれほど助けられてたかってことが…それで…」
「やめろ!やめろ!気色悪い!
お前、熱でもあるんじゃないのか?!」
「なんだと~!
俺がこうやって素直に謝ってるのに、あんまりな言い方じゃないか!」
「なんや、やかましいな…」
『目が覚めたか…』
「…あの二人…なんか喧嘩してるみたいやけど、止めんでええんか?」
『…あれは、喧嘩ではなく、彼らのコミュニケーションなのだ。』
「そうなん?」
『ほら、見ろ…
お互いあんなことを言い合いながら、一緒に帰って行くではないか。』
「ほんまや。おかしな人らやなぁ。
ほんだら、俺らもそろそろ王都に向かおか…」
『そうだな。少し急いだ方が良さそうだぞ。』
「よっしゃ!よう寝たから全速力で行くでぇ!」
マールは、王都に向かって走り出す。
刃動と和成は、なおもつまらない口論を続けながら…お互い心の中では違う事を考えていた。
しかし、その想いを言葉にすることはない…
「…ところで、さっきの…誰なんだ…?」
「お前なぁ…
今頃そんなこと言う?
だから、お前はボケてるって言われるんだ!」
「どこがボケてるんだ!」
言葉になって出て来るのはいつもそんなことばかり…
心の中にある想いを言葉に出来る日は一体いつになることやら…
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