Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
594 / 697
085. 帰る場所

しおりを挟む
「ふぁ~、まだ眠たいのにぃ…
あ、あれ?あんた誰?」

「オレは、刃動だ。」

『マール、すまんがあそこの木陰に移動してくれないか?
そしたら、またしばらく眠ってていいから』

「わかった…」

寝ぼけ眼のマールが、おぼつかない足取りで少し離れた木陰に移動する。

「ここでええか?そしたら、俺、もう少し寝るで~」

マールは木陰に横になると同時に、再び夢の世界へ旅だったようだ。

「……お前もこんなんと一緒じゃ苦労してるんじゃないのか?」

『そうでもないぞ。至って平和だ。』

「…お前達はうまくいってるんだな…」

『ここなら、大丈夫だろう。
さぁ、話せ。』

刃動はぽつりぽつりと話しを始めた。
そのうちに、話の速度は少しずつ速まり、やがて止まらない勢いになっていく…

「それにな、あいつは…」

『……おまえ…
酒も飲んでいないのに、よくもそれだけしゃべれるもんだな…』

「当たり前だ!
今まで我慢に我慢を重ね…」

『我慢してたのか…?』

「………そ、そりゃあ、オレもこんな性格だから、ずっと黙ってるなんてことは出来ないが…」

『…だろうな。』

「だけど、なんで、このオレがあんな単細胞の従者なんだ。
バングルをみつけたってだけで、あいつに大きな顔してこき使われるのは許せねぇ!
もうあんな奴の所になんか戻らない!!」

『…結局、おまえもその主人と似てるってことだな。』

「あいつとオレが似てるだと!
どこが似てるんだ!」

『そういう単細胞な発言が似てるって言っているのだ。
どちらが主人で、どちらが従者等と言う事がそんなに重要なことか?
おまえは、その者を助けてやれた時に心がいやされるようなことはないか?』

「癒される…?」

『そうだ…和成とかいったな。
その和成が、お前に礼を言ったり喜んだりすることはないのか?』

「そ、そりゃああるけど…」

『そんな時、おまえはどう思う?』

「どうって……」

『私はそういう時、心が癒されるぞ。
人間がよくいう「幸せ」というものを感じられるぞ。』

「…………」

『それで良いではないか…』

刃動は黙ったままで、遠くをみつめていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~

柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。 想像と、違ったんだけど?神様! 寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。 神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗ もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。 とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗ いくぞ、「【【オー❗】】」 誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。 「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。 コメントをくれた方にはお返事します。 こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。 2日に1回更新しています。(予定によって変更あり) 小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。 少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_

三百字 -三百字の短編小説集-

福守りん
ライト文芸
三百字以内であること。 小説であること。 上記のルールで書かれた小説です。 二十五才~二十八才の頃に書いたものです。 今だったら書けない(書かない)ような言葉がいっぱい詰まっています。 それぞれ独立した短編が、全部で二十話です。 一話ずつ更新していきます。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

身体交換

廣瀬純一
SF
男と女の身体を交換する話

転生調理令嬢は諦めることを知らない!

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...