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ルカ(聖夜月ルカ)

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085. 帰る場所

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「お前達はどうやって主従関係を結ぶのだ?」

『主従関係?
私とマールの間にはそんなものは存在しない。』

「マールというのはそいつだな。
お前がそいつを自由に操っているわけではないのか?」

『なぜ、そんなことをする必要がある?』

「なら、なぜお前はそいつの身体の中に実体ごとおさまってるんだ?
他に目的があるのか?」

『目的など、ない…』

「…よくわからんな。
目的もなく、なぜその男の身体の中に棲んでいる?」

『私がいなければこの男は生きられないからだ。」

「!!
どういうことなんだ?」

『この男は、ある事故によって内臓や脳を損傷した。
特に脳の損傷は著しく、本来ならばもうこの世にいることは出来なかった。』

「それをお前が助けたということだな。
なぜだ…?」

『…それは、この男が「生きたい」と願ったから…』

「お前は天使のようなものなのか?」

『まるで違うな。
ただの偶然と私の気まぐれと興味でそういうことになってしまっただけのことだ。』

「聞けば聞く程、わからない話だな。
お前はその男の命の綱なのだろう?
なぜ、その男を好きなように操らない?」

『さっきも言ったが、私にはそういう意思はない。』

「そうか…」

刃動は、焦点の定まらない視点をそっと落とした。

『お前は誰かと契約を結び、主従関係にあるということだな。
そして、そのことに納得していない…』

「お前、オレの思考が読めるのか?!」

『そんなことは、思考を読まなくとも今までの話の流れで十分にわかる。』

「…なるほどな。」

『悩みがあるのなら聞いてやるぞ。
しかし、場所を変えた方が良いかもしれんな。』

「場所を?なぜだ?」

『気付いてないのか?
さっきから、周りの者達がおまえのことをおかしな奴だと囁いているぞ。
それもそうだな。
昼寝をしてる男に向かって、一人で話しかけてるんだからな。』

「な…!!」

ノーマンにそんなことを言われ、刃動があたりに目をやると、まわりにいた人々は急に動きを止め、刃動から目をそらした。

「お前なぁ…!
わかってるなら、早く言えよ!」

『まあ、そう怒るな。
今、マールを起こすから。』

マールの身体がもそもそと動き出し、そしてむっくりと起き上がる。

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