Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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081. おとり

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「オサリバン、これから私の言う通りにしなさい。
 良いわね?
ジプシーたちに思い知らせてやる…」

 「は、はい、ミラお嬢様。」



ミラは、オサリバンに神父に変装するように言いつけた。
そして、ジプシー達を町はずれの空き家に泊まるように勧め、食事を振舞うように言いつけた。
ジプシー達は喜び、疑うことなく空き家にやって来た。



 暗くなり、みんなが寝静まった頃、ミラに雇われた者が空き家に火をつけた。



 「火事だーーー!」

 男は、大きな声で叫ぶ。
 空き家は、にわかに騒がしくなった。
その時の混乱に乗じて男は猫を捕え、ミラの元に走った。



 *



 「今日からここがあなたの家よ。
あなたに名前をつけなきゃ…何が良いかしら?
……そうだわ!
 『ヴィーナス』が良いわ。
 美しいあなたにぴったりの名前だわ!」

ミラは美しい猫を手に入れ、とても満足していた。



 夜になり、ミラたちが寝静まった頃、屋敷の傍に何者かの姿があった。
ヴィーナスは屋敷の鍵を咥え、その者達の所に向かった。



 「よしよし、良い子だ。」

 数人の者達はその鍵を使い、屋敷の中に侵入する。



 「起きるんだ!」

 「えっ!?」

 突然の声に、ミラがびっくりして起きると、ジプシーたちがミラを取り囲んでいた。



 「金はどこだ!」

 「か、金なんて…」

 「命が惜しくないのか!」

ジプシーの一人が、ミラの首筋にナイフの刃を押し当てる。



 「お、お金ならそこの引き出しに…」

ミラは震える声でそう言った。



 「宝石もあるだろう!」

ミラに逆らうことは出来なかった。
ジプシーたちは、ミラのお金や宝石を根こそぎ奪い、部屋から逃げて行った。

 
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