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ルカ(聖夜月ルカ)

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081. おとり

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 「あっ!あなたは昨日の…」

 翌日も猫は庭に現れた。
ミラが猫に近付こうとすると、猫はその場から走り去ってしまう。



ミラはその猫のことが気になって仕方なかった。
どうしても猫を捕まえたくて、ミラは使用人のオサリバンを呼んだ。



 「ミラお嬢様、何か御用ですか?」

 「ここに遊びに来る猫を捕まえてほしいの。
 灰色の毛並みで、金と銀の目をしたとても綺麗な猫よ。
 傷付けることなく、捕まえてちょうだい。」

 「わかりました!」



しかし、猫はすばしっこくなかなか捕まらない。
それどころか、オサリバンが捕まえようとしたせいか、猫は庭に来なくなってしまった。
ミラはオサリバンを激しく叱責する。



そんなある日、オサリバンは、その猫が馬車の上で寝ているのをみつけた。
 町の広場で踊りを見せるジプシーたちの馬車だ。
オサリバンは、早速、そのことをミラに報告した。



 「多分、あの猫はジプシーの飼い猫だと思いますよ。
 馬車の上でとても寛いでいましたから。」

 「そうだったの…でも、それなら話が早いわ。
あの猫を買って来てちょうだい!」

ミラは、オサリバンにずしりと重い金貨の詰まった皮袋を手渡した。



 (たかが猫のために、こんな大金をやるだなんてもったいない!)

オサリバンは、金貨を自分の懐に納めた。



 「ジプシーの野郎、金をふんだくっておきながら、これっぽっちの金じゃ猫は譲れないと言いやがるんです!」

 「あんなに出したのに足りないなんてどういうこと!?
ジプシーの分際でなんて人達なのかしら!」

ミラはオサリバンの嘘にすっかり騙されていることにも気付かず、激怒した。

 
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