Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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079. 扉

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 (はっ!?)



 目を開けて、すぐに見えたのは見慣れた病室の天井だった。
そのことに妙に安堵する。



あれはなんだったんだ…?
 扉から始まったあのおかしな夢は…







 「潤……おかしなことを訊くけど、岡本君って知ってる?」

 「えっ!?」

 馬鹿なことをしているとは思ったけど、あの夢のことが気になり、僕は潤にそう訊ねた。
 潤が、岡本君を知っていることは、答えを聞かなくても、真っ青なその顔色からわかった。



 「な、なんで、トシが岡本のことを…」

 「今朝、おかしな夢を見たんだ。
 岡本君が僕に言うんだ。
 潤のせいじゃないって。
 本当の原因は、真由に騙されてたからだって。」

 「えっ!?」

 潤の驚きようは普通じゃなかった。
 目は大きく見開かれ、汗が吹き出し、僕をじっとみつめてた。



 「な、なぜ、トシが岡本や真由のことを…」

 「さぁ、僕は夢を見ただけだから。」



 潤は、よほどショックが大きかったのか、いつもならけっこう喋っていくのに、早々に引き上げてしまった。



そして、その晩…
僕はまた夢を見た。
 先日の夢と全く同じだ。



 「私の言ったことが本当だとわかってもらえたかね?」

 「はい。」

 「それは良かった。
 今度の扉は、完全に関口潤と君の体を入れ替える…
一度開いたらもうやり直すことは出来ないが…どうするかね?」

 「……今度は、開けません。」

 「なぜだ?入れ替われば、君はこの先も生きていられるのだぞ。」

 「……そうですね。
 確かにとても魅力的です。
 正直言って、僕はもっと生きたい…
でも……今回のことで、きっと潤の気持ちは変わると思うんです。
 彼の心の傷が少しでも癒えて、彼が死にたいと思わなくなったとしたら…
それは、もしかしたら潤の命を伸ばせたってことなのかもしれません。
 自分の命はだめだったけど、潤の命だけでも伸ばせたなら…それはやっぱり嬉しいことだから…」

 老人は、切ない顔をして微笑んだ。



 「ならば、伸びた分は折半っていうのはどうかね?」

 「……どういうことです?」

 老人は何も答えず、僕の目の前で煙のように消えて行った……

 
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