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ルカ(聖夜月ルカ)

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079. 扉

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 目が覚めた途端、僕はおかしな感覚を感じた。



 (……ここは?)



そこは、いつもの病室ではなかった。
 6畳程の狭い部屋…
部屋の中を見渡す…さほど大きくないテレビと、小さなテーブル…小さな棚…
脱ぎ捨てられた服や空のペットボトルが転がっている。
 僕は体を起こした。



ゆっくりと部屋を出ると、すぐに洗面所があった。



 「あっ!」



 洗面所の鏡に映っていたのは、潤だったのだ。
それを見た時、急に僕はさっき見た夢を思い出していた。



そう…僕は扉を開いた。
 開けば、潤の体と入れ替われるというその扉を…
そのことはしっかりと覚えている。



でも、それから先、僕はどうなったんだ?
いや、そもそもあれは夢だ。
なのに、どうしてこんなことに…



鏡の前で、僕は自分の…いや、潤の顔を撫でた。
 当然、鏡の中の潤も同じ動きをする。



とても信じられないことだった。
 夢の中の出来事が現実になるなんて…



「あっ!」



 急に僕は激しい眩暈に襲われた。
ぐらりと大きく揺れる頭に立っていることが出来ず、僕はその場にしゃがみこんだ。



 「おい、関口…どうかしたのか?」

 「えっ!?」



 眩暈は治まっていた。
それだけではない。
 僕は、あたりの景色がまるで変わっていることに気が付いた。
しかも、僕は学生服を着ている。



 「こ、ここは…」

 「はぁ?おまえ、何言ってるんだ?」

 見知らぬ坊主頭の男子生徒が微笑む。
 見たところ、そこは学校のようだった。



 「岡本のことはもうあんまり気にすんなよ。」

 「岡本…?」

 「おい、関口…おまえ、本当に大丈夫か?」

 男子学生は、心配そうに僕の顔をのぞきこむ。



 「岡本って誰なんだ?」

 「誰って…おまえの幼馴染じゃないか。
 先週自殺した…」

 「えっ!?」



 僕の驚きようは尋常ではなかったのだろう。
 男子学生は、訝し気な顔をして僕をみつめてた。



 「あの時…おまえが岡本の誘いを断ったから死んだんだって…
おまえ、えらく気にしてたじゃないか。
 岡本が死んだことまで忘れるなんて……本当に大丈夫か?」



その話を聞いた時…僕はあることに思い当たった。
 潤はどこか冗談めいて言うけれど、彼の心の中には確かに自殺願望みたいなものがある。
それが、この岡本という子の死と何か関わりがあるのではないかと…僕はそんなことをふと思った。

 
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