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ルカ(聖夜月ルカ)

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078. 異国の歌

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これから住む事にはなったものの、まだよく知らない町の夜道はなんとなく心細い。
ふと、あの歌を口ずさみそうになり、そしてすぐに口をつぐんだ。

ニコラスとのことがあって以来、あの曲は今までのあの曲とは違う…
歌いたいのに辛くなる…そんな複雑な想いの曲になってしまっていた。

その時、どこからか風に乗って低い男性の歌声が聞こえて来た。
アンナはふと足を留め、耳を澄ます。
どことなく懐かしい想いのするその歌声…



(この曲は……!!)



そう…その曲は、アンナの大好きなあの異国の歌だったのだ。
道の傍らに腰掛け、神経を集中し目を閉じてじっとその歌声に耳を澄ます…



(少し違うけど…
間違いないわ!
私の知ってるあの曲だわ!)



アンナの覚えてる曲とは、ほんの少し言葉が違うように思えたが、メロディは間違いなくあの曲のものだった。



(誰が歌ってるのかしら?)



アンナは立ち上がり、あたりを見まわしたが暗くてよくわからない。
どちらの方向から聞こえてくるのか確かめようと、もう一度目を閉じ神経を集中していると、その歌声が不意に途切れた。



(えっ…?!どうしたの?)



しばらく待っていたが、その後も歌声が聞こえて来ることはなかった。
あたりはますます暗くなってくる。
アンナは、仕方なく諦め、家に戻った。

家に戻ってからも、先程のあの歌声のことが頭から離れなかった。



(誰が歌ってたのかしら?
あの国の人かしら?
絶対にみつけたいわ。
どこの、なんて曲なのか聞いてみたい!
どんなことが歌われてるのか、知りたい!)



そのことで頭の中はいっぱいだったが、とにかく今はどうする術もない。
あの町に行けば、きっといつかその望みが叶うと信じ、アンナは無理に休むことにした。







次の朝、アンナは隣町に引っ越した。
荷物の整理もそこそこに、アンナはあたりが暗くなると昨日のあの場所を訪れた。
あの歌声が流れて来るのを耳を澄ましてじっと待ったが、いつまで待っても聞こえて来る事はなかった。



(今日は、なにか用でもあったんだわ、きっと…
また明日、来てみましょう。)



そう自分に言い聞かせて、アンナは重い足取りで家へ戻った。

 
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