535 / 697
076. 野望
2
しおりを挟む
「そうか、そのために買って来てくれたのか。
おまえにしては気が利くな。
……だが、なぜ私の分だけではなく、おまえの分もあるんだ?」
その問いに李雲はくすくすと笑い、肘で楊俊を突っついた。
「本当に、楊俊様はお人が悪い…
今回のイケメンコンテストの優勝者にはあの伝説の女人島に三泊四日のご招待という超豪華プレゼント。
百年に一度、突然現れるという謎めいた島…島は常に温暖な気候が取り巻き、住む者は女のみ…しかも、女人島に住む女は年を取らない…
まさに、この世のパラダイスではありませんか。
そして、そのご招待はペアですぞ!
楊俊様の一番の親友といえば、この私!ご一緒するのは私以外にいないではありませんか!」
李雲は頬を桃色に染め、半ば夢に浮かされたように語った。
「は…?
誰が一番の親友だって…?
私は、女人島には一人で行くぞ!」
「よ…楊俊様、い、今、なんと…!?」
「聞こえなかったのか?
私は女人島へは一人で行くと言ったのだ!」
楊俊は、李雲の耳元に向かって一際大きな声を出した。
「そ、そんな大声を出していただかなくとも、私はまだ耳は十分聞こえております!!
そんなことよりも、女人島へ一人で行かれるとはどういうことです!?
ペアでご招待だというのに、なにゆえ、私を連れて行って下さらんのですか!」
「なんだ、そんなことか…
それはもちろんおまえがいたら邪魔だからだ。
私の方がモテるのは間違いないが、招待したからには、女人島の女達はきっとおまえにも気を遣うだろう。
私は、女達を一人占めしたいのだ。
女しかいない女人島でただ一人の男として、この上ない至福の時を過ごしたいのだ…!」
楊俊は立ちあがり目をキラキラと輝かせ、両手を広げ大空に差し出した。
「そ、そ、そんな……」
楊俊とは裏腹に、李雲はその場に倒れこむようにがっくりと膝を着いた。
「ま、土産くらい買って来てやるから楽しみに待ってろよ。
あ、それからアロハと海パンはありがたくいただいておく。
……では、翠、そろそろ帰るぞ。」
「キュアッッ!!」
まだ少し眠そうな翠は楊俊を背中に乗せ、大きな翼を羽ばたかせ空へ舞い上がる。
(あ…あんまりでございます…楊俊様…)
楊俊と翠の飛び立った後には、傷心の李雲と派手なアロハとブーメランパンツだけが残された…
おまえにしては気が利くな。
……だが、なぜ私の分だけではなく、おまえの分もあるんだ?」
その問いに李雲はくすくすと笑い、肘で楊俊を突っついた。
「本当に、楊俊様はお人が悪い…
今回のイケメンコンテストの優勝者にはあの伝説の女人島に三泊四日のご招待という超豪華プレゼント。
百年に一度、突然現れるという謎めいた島…島は常に温暖な気候が取り巻き、住む者は女のみ…しかも、女人島に住む女は年を取らない…
まさに、この世のパラダイスではありませんか。
そして、そのご招待はペアですぞ!
楊俊様の一番の親友といえば、この私!ご一緒するのは私以外にいないではありませんか!」
李雲は頬を桃色に染め、半ば夢に浮かされたように語った。
「は…?
誰が一番の親友だって…?
私は、女人島には一人で行くぞ!」
「よ…楊俊様、い、今、なんと…!?」
「聞こえなかったのか?
私は女人島へは一人で行くと言ったのだ!」
楊俊は、李雲の耳元に向かって一際大きな声を出した。
「そ、そんな大声を出していただかなくとも、私はまだ耳は十分聞こえております!!
そんなことよりも、女人島へ一人で行かれるとはどういうことです!?
ペアでご招待だというのに、なにゆえ、私を連れて行って下さらんのですか!」
「なんだ、そんなことか…
それはもちろんおまえがいたら邪魔だからだ。
私の方がモテるのは間違いないが、招待したからには、女人島の女達はきっとおまえにも気を遣うだろう。
私は、女達を一人占めしたいのだ。
女しかいない女人島でただ一人の男として、この上ない至福の時を過ごしたいのだ…!」
楊俊は立ちあがり目をキラキラと輝かせ、両手を広げ大空に差し出した。
「そ、そ、そんな……」
楊俊とは裏腹に、李雲はその場に倒れこむようにがっくりと膝を着いた。
「ま、土産くらい買って来てやるから楽しみに待ってろよ。
あ、それからアロハと海パンはありがたくいただいておく。
……では、翠、そろそろ帰るぞ。」
「キュアッッ!!」
まだ少し眠そうな翠は楊俊を背中に乗せ、大きな翼を羽ばたかせ空へ舞い上がる。
(あ…あんまりでございます…楊俊様…)
楊俊と翠の飛び立った後には、傷心の李雲と派手なアロハとブーメランパンツだけが残された…
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
幼女からスタートした侯爵令嬢は騎士団参謀に溺愛される~神獣は私を選んだようです~
桜もふ
恋愛
家族を事故で亡くしたルルナ・エメルロ侯爵令嬢は男爵家である叔父家族に引き取られたが、何をするにも平手打ちやムチ打ち、物を投げつけられる暴力・暴言の【虐待】だ。衣服も与えて貰えず、食事は食べ残しの少ないスープと一欠片のパンだけだった。私の味方はお兄様の従魔であった女神様の眷属の【マロン】だけだが、そのマロンは私の従魔に。
そして5歳になり、スキル鑑定でゴミ以下のスキルだと判断された私は王宮の広間で大勢の貴族連中に笑われ罵倒の嵐の中、男爵家の叔父夫婦に【侯爵家】を乗っ取られ私は、縁切りされ平民へと堕とされた。
頭空っぽアホ第2王子には婚約破棄された挙句に、国王に【無一文】で国外追放を命じられ、放り出された後、頭を打った衝撃で前世(地球)の記憶が蘇り【賢者】【草集め】【特殊想像生成】のスキルを使い国境を目指すが、ある日たどり着いた街で、優しい人達に出会い。ギルマスの養女になり、私が3人組に誘拐された時に神獣のスオウに再開することに! そして、今日も周りのみんなから溺愛されながら、日銭を稼ぐ為に頑張ります!
エメルロ一族には重大な秘密があり……。
そして、隣国の騎士団参謀(元ローバル国の第1王子)との甘々な恋愛は至福のひとときなのです。ギルマス(パパ)に邪魔されながら楽しい日々を過ごします。
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
グーダラ王子の勘違い救国記~好き勝手にやっていたら世界を救っていたそうです~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
ある日、ティルナグ王国の自堕落王子として有名なエルクは国王である父から辺境へ追放を言い渡される。
その後、準備もせずに木の上で昼寝をしていると、あやまって木から落ちてしまう。
そして目を覚ますと……前世の記憶を蘇らせていた。
これは自堕落に過ごしていた第二王子が、記憶を甦らせたことによって、様々な勘違いをされていく物語である。
その勘違いは種族間の蟠りを消していき、人々を幸せにしていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる