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075. 仮面
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カランカラン
今日もまたキリーの不思議な店に1人のお客が訪れた。
「ごめん下さい…」
「いらっしゃい。」
「…あの…僕…ポイントを…」
「はいはい。ポイントの交換ですね?
交換したい景品はもうお決まりですか?」
「はい…あの…実は、僕…あの仮面が…」
青年は壁にかかった仮面をそっと指差した。
赤と黒で塗り分けられた奇抜な仮面だ。
「仮面ですか。
お客さん、お目が高い!
これはとても人気の高いアイテムなんですよ。
希望される方が多くて、入荷してもすぐになくなるんですよ。」
「…そうなんですか。」
「仮面の使い方はわかってますか?」
「……え…あ…はい。」
「では、すぐにお包みしますね。」
青年の名はマーク、年は20代半ば。
ごく平均的な家庭に育ち、ここまでごく平均的な暮らしをしてきた。
中肉中背で、特に容姿が劣っているわけではないが、さりとて端正というわけでもない。
趣味といえば、土いじりと機械いじりで、しゃべるのはどちらかというと苦手な方だ。
彼には、フィルという幼馴染みがいた。
自分と比べてもこれといって差がないように思うのだが、彼は常に大勢の友人に囲まれ、つい最近にはずっと高嶺の花と言われていたコートニーのハートまで射止めてしまったのだ。
マークは、フィルと自分の何が違うのかを考えた。
いや、考えるまでもなく、性格が違うのだ。
フィルは、明るく社交的で、しかも世話好きで冗談がうまい。
ただ、それだけのことなのに、今の自分とはこんなにも差がついてしまっている。
(僕だって、フィルみたいな性格に生まれていたら今頃は…)
マークはずっとそう考えていた。
今日もまたキリーの不思議な店に1人のお客が訪れた。
「ごめん下さい…」
「いらっしゃい。」
「…あの…僕…ポイントを…」
「はいはい。ポイントの交換ですね?
交換したい景品はもうお決まりですか?」
「はい…あの…実は、僕…あの仮面が…」
青年は壁にかかった仮面をそっと指差した。
赤と黒で塗り分けられた奇抜な仮面だ。
「仮面ですか。
お客さん、お目が高い!
これはとても人気の高いアイテムなんですよ。
希望される方が多くて、入荷してもすぐになくなるんですよ。」
「…そうなんですか。」
「仮面の使い方はわかってますか?」
「……え…あ…はい。」
「では、すぐにお包みしますね。」
青年の名はマーク、年は20代半ば。
ごく平均的な家庭に育ち、ここまでごく平均的な暮らしをしてきた。
中肉中背で、特に容姿が劣っているわけではないが、さりとて端正というわけでもない。
趣味といえば、土いじりと機械いじりで、しゃべるのはどちらかというと苦手な方だ。
彼には、フィルという幼馴染みがいた。
自分と比べてもこれといって差がないように思うのだが、彼は常に大勢の友人に囲まれ、つい最近にはずっと高嶺の花と言われていたコートニーのハートまで射止めてしまったのだ。
マークは、フィルと自分の何が違うのかを考えた。
いや、考えるまでもなく、性格が違うのだ。
フィルは、明るく社交的で、しかも世話好きで冗談がうまい。
ただ、それだけのことなのに、今の自分とはこんなにも差がついてしまっている。
(僕だって、フィルみたいな性格に生まれていたら今頃は…)
マークはずっとそう考えていた。
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