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ルカ(聖夜月ルカ)

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070. 光りさす庭

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「俺は後どのくらいもつだろうな?」

「さぁ…水だけでも何日かは生きられると聞いたことはありますが…」

「やけに冷静なんだな。」

最期の時はすぐ目の前にやってきていることをタイラーは感じていた。
自分にはもう立って歩く事さえも出来ないのだから…



「あなたはまだ生きたいのですか?」

「いや…もう良い。
ダグラスの願いは叶えられた。
俺はもうそれで満足だ。」

「そうですか…
あなたが生きたいのなら、一つだけ方法があるにはあるのですが…」 

「えっ……?!」







(すまなかったな、わしがつまらないことを頼んでしまったばっかりに…)



スコットは、タイラーに心の中で詫びながら町を発った。

とうとうタイラーが戻って来ることはなかった。
町で話を聞いてみた所、馬鹿げた噂話に踊らされて樹海に入った者は誰も戻って来なかったと言う事だった。



(だが、わしは…
わしは確かにあそこへ行った…)



確証はなかったが、スコットはなぜだか強くそう感じていた。
だが、その大半が戻って来なかったということも事実だと思えた。



(わしはあの場所で一体どんな体験をしたのだろう…?)







「では…両手を前に…」

言われる通りに、タイラーは両手を差し出した。
願いの番人は、その手を取る。



「私の命と記憶と役割をあなたに…」

そう呟いた瞬間…
願いの番人は、空気の中に溶けるように消えていった…
同時に、タイラーの身体に力がみなぎり、自分のものではない記憶が注入されたことを知る。





(ありがとう…)

どこかでそんな声が聞こえた気がした。





タイラーは、今日も待つ…
願い事を胸に秘めた人間がやって来るのを…
タイラーという名ばかりか本当の自分をも全て忘れ、願いの番人として…



光り差す幽玄の庭で、ずっとずっといつまでも…




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