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068. 狂熱の骸
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しばらくして、骨は私にこう呟いた。
『教えてくれ…それじゃあ、俺は、彼女には愛されてはいなかったということなのか?』
言葉でそうだというのはあまりにも酷な気がして、私はただ黙って頷いた。
『………なんてことだ。
俺は、そんなことにも気付かず、ずっと一方的に彼女の事を愛し続けていたのか…
そうか、俺は、嫌われていたんだな。
だからこそ殺された…
なのに、俺は今の今までそんな事を考えもせず情熱をたぎらせ、他の死者と同じようにあの世へ行けることもなく、一人ぼっちでこんなに苦しんで…』
骨は気の毒な程、憔悴しきって見えた。
「でも、あなたの力をもらいにたくさんの人がここを訪れてるじゃないですか…」
『皆がほしがってるのは俺の力だけだ。それもありもしない力だ。
俺自身に関心を持つ奴なんていない。それに、誰も俺には触れることさえ出来ない…』
「そういえば、あなたをここへ連れて来られたのはどなたなんですか?」
『多分…どこかの坊さんだと思う。
俺を拾い上げ、こんな祠に置いてさらし者にしやがった。』
「その方の手は大丈夫だったのですか?」
『もちろん、そいつの手は焼け爛れ、最後には骨まで溶けた。
良い気味だ!』
「なんということを…
おそらく、その方はあなたをあの世に送るためにこの祠を作られたのです。
あなたのその熱い物を良い風に人間に分け与え、そして浄化されるようにと…」
『う…嘘だ…!
奴はおもしろ半分で俺のことを…』
「誰がおもしろ半分で、自分の両手をなくすようなことをしますか?」
『そんな…じゃあ、あの坊さんは本当に俺のために…?』
「その通りです。
あなたはそんなことにも気付かなかったのですか…」
『…………』
骨は、突然、絶叫のようにも聞こえる声を発し、激しい火花を散らしながら熱を高め、やがてめらめらと真っ赤な炎を上げ始めた。
私はとっさに身を引き、離れた場所へ身を隠した。
炎は一瞬のうちに広がり、小さな祠を舐め尽した。
しばらくして、すべては灰となった…
そこに残ったのは醜く歪んだあの石の台座だけだった…
まだ熱の残る灰を一掴み、私は暗い空へ向かって放り投げた。
どうか、うまく風に乗って天へ還れますように…との願いを込めて…
『教えてくれ…それじゃあ、俺は、彼女には愛されてはいなかったということなのか?』
言葉でそうだというのはあまりにも酷な気がして、私はただ黙って頷いた。
『………なんてことだ。
俺は、そんなことにも気付かず、ずっと一方的に彼女の事を愛し続けていたのか…
そうか、俺は、嫌われていたんだな。
だからこそ殺された…
なのに、俺は今の今までそんな事を考えもせず情熱をたぎらせ、他の死者と同じようにあの世へ行けることもなく、一人ぼっちでこんなに苦しんで…』
骨は気の毒な程、憔悴しきって見えた。
「でも、あなたの力をもらいにたくさんの人がここを訪れてるじゃないですか…」
『皆がほしがってるのは俺の力だけだ。それもありもしない力だ。
俺自身に関心を持つ奴なんていない。それに、誰も俺には触れることさえ出来ない…』
「そういえば、あなたをここへ連れて来られたのはどなたなんですか?」
『多分…どこかの坊さんだと思う。
俺を拾い上げ、こんな祠に置いてさらし者にしやがった。』
「その方の手は大丈夫だったのですか?」
『もちろん、そいつの手は焼け爛れ、最後には骨まで溶けた。
良い気味だ!』
「なんということを…
おそらく、その方はあなたをあの世に送るためにこの祠を作られたのです。
あなたのその熱い物を良い風に人間に分け与え、そして浄化されるようにと…」
『う…嘘だ…!
奴はおもしろ半分で俺のことを…』
「誰がおもしろ半分で、自分の両手をなくすようなことをしますか?」
『そんな…じゃあ、あの坊さんは本当に俺のために…?』
「その通りです。
あなたはそんなことにも気付かなかったのですか…」
『…………』
骨は、突然、絶叫のようにも聞こえる声を発し、激しい火花を散らしながら熱を高め、やがてめらめらと真っ赤な炎を上げ始めた。
私はとっさに身を引き、離れた場所へ身を隠した。
炎は一瞬のうちに広がり、小さな祠を舐め尽した。
しばらくして、すべては灰となった…
そこに残ったのは醜く歪んだあの石の台座だけだった…
まだ熱の残る灰を一掴み、私は暗い空へ向かって放り投げた。
どうか、うまく風に乗って天へ還れますように…との願いを込めて…
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