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ルカ(聖夜月ルカ)

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068. 狂熱の骸

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私は無意識に骨に向かって手を伸ばしていた…
まさに、私の手が骨に触れようとしたその刹那…



『やめろ!手が溶けるぞ!!』



その声に、私はハッとし、あたりを見まわした。
……しかし、あたりには人の気配はなかった。



(……空耳か…)



私は、なぜだかその場所を離れる気になれず、骨の前に腰を降ろし、赤い骨をみつめていた。




『あんたが傍にいてくれると、気持ちが良いな。』



またしても、誰もいない闇の中からそんな声が聞こえたような気がした。



「誰だ?!どこにいる?」

『……あんたの目の前にいるじゃないか…』

「目の前…?」

目の前にあるのは、あの熱い骨だけ…



「まさか…!
あなたは、この骨の主だと言うのですか!?」

『そう、その通りだ…
あんたには、熱さがなくて傍にいてくれると気持ちが良いんだ。
風がそよぐみたいな感じだ。もっと近寄ってくれないか?』

馬鹿な…
骨が熱く燃えたぎっているだけでも不自然なことなのに、今度は骨がしゃべった…?
いや、正確にはしゃべっているわけではない。
その声はきっと私の耳ではなく心の中に直接入って来ているのだから。




『どうした?
いや、あんたが驚くのも無理はないな。
こんな骨からの声が聞こえて驚かない方がおかしいってもんだ。
ここには今までたくさんの人間が訪ねて来たが、俺のことを考えてくれたのはあんたが初めてだったんだ。
それで、つい嬉しくてな!』

私は、頭がおかしくなったのか、それとも、夢を見ているのか…?
しかし、不思議と怖しさは感じなかった。
それに、考えてみれば、目を覚ましてしまうのはもったいないような夢ではないか。
私は、このまま骨との一時を楽しむことにした。


 
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