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ルカ(聖夜月ルカ)

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068. 狂熱の骸

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「おはよう、よく眠ってたな。」

目を覚ますと、そこには昨日のあの男の顔があった。




「今日は早速、昨日、教えていただいた祠に行ってみようと思ってます。」

「そうか、それな、夕方まで時間を潰さなくちゃな。」

「どうしてです?」

「あそこは夜しか行っちゃいけないんだ。
なんせ熱い骨だから、夜に行かないと熱さでやられてしまうってことだ。」



なるほど…きっと明るいと仕掛けがバレやすいからなのだろうと、私は思った。

昼は、男と一緒に近くの川で釣りを楽しみ、太陽が傾きかけた頃、私は祠へ向かって歩き出した。



「とにかく、この道をまっすぐ行けば辿り着くから、迷う事はないと思うぜ。
じゃ、頑張ってな!
力をもらって良い女をモノにしなよ!」

「いろいろとありがとうございました。
では、行って来ます。」




祠の先へ行くと、隣町に着くらしい。
隣町はここよりは大きな町で、宿屋もあるとのことだった。
今夜は、久しぶりに布団の上で眠れるのかと思うと、熱い骨のこと等もうどうでも良いように思えた。



どのくらい歩いただろうか…
あたりが闇に包まれた中に、赤い灯かりが見えた。



(あれが祠だろうか?)



「これは…!」

祠に着いた私は、そこにあるものを見て少なからず驚いた。



灯かりはランプ等ではなく、骨自身の発する物だったのだ。
近くで見てみようと、顔を近付けただけで顔から汗が滴って来る。
なんという熱さだ…
しかも、見た所、骨の中には何も仕掛けらしきものは見あたらない。

目の部分から、何度も中をのぞいたのだから間違いない。
頭蓋骨の中にはそれらしきものは何もなかった。
骨は、黒っぽい石のような台座に載せられていたが、その部分までもが骨の熱さで赤くなっている…



(一体、どういうことなのだろう…?)



呆然と骨をみつめていた私は、いつしか仕掛けのことなど、すっかりと頭の中から消え失せていた。
それと入れ違いに気になりだしたことがあった。



はたして、この人物は一体どういった人物だったのだろう…?
これが本当に骨の発するものだとしたら…
骨になってもなお赤々とした情熱の熱を保ち続けるこの人物とは…
いや…情熱等ではない。
もはや、狂熱と呼んだ方が相応しい。
それ程までに、その熱は赤く熱いのだ。 
 
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