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066. 人形
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二人は暗くなりかけた町の中を花屋を探して歩き出した。
ところが、遅い時間のせいか、もう薔薇の花は売り切れていたり、すでに店が閉まっていたりで薔薇の花はみつからなかった…
「あの…本当にもう、けっこうですから…」
「申し訳ありません…
無駄に歩かせてしまいましたね。
なんだか歩き過ぎてお腹がすきませんか?」
そう言いながら、男性はアンヌを近くのレストランに連れていこうとした。
(こんな高いお店、とても入れはしないわ…!)
「あの…私、食事なら家で食べますから…」
「ご家族の方が待ってらっしゃるのですか?」
「いえ、私は独り暮らしですから、そんなことはありませんが…」
「なら、どうかつきあって下さい!
僕も一人なんです。お願いします!」
男性の少し強引とも思える申し出に、アンヌも仕方なく了承してしまった。
いや、少しくらい高く付いた所で、こんな素敵な男性と食事をする機会等めったにないということがわかっていたせいかもしれない。
今までアンヌが入ったこともない高級なレストランで、食べたこともない程素晴らしい料理を味わった。
それよりもアンヌを楽しませてくれたのは、相手の男性そのものだった。
顔をみているだけでもうっとりとしてしまう…
気配りもあり、話もとても楽しい。
男性は名をフェルナンといった。
そんな彼との夢のような時間は、瞬く間に過ぎて行った。
「アンヌさん、今日はどうもありがとうございました。
とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
あの…もしよろしければ明日も会っていただけませんか?
明日こそ薔薇の花を弁償させていただかなくては…」
「こちらこそどうもありがとうございました。
薔薇のことはもうお気になさらないで下さい。
それよりもあんな素晴らしい夕食を御馳走していただいて申し訳ないですわ。」
「いえ、僕はあなたと一緒に食事が出来てとても楽しかったのです。
どうか、そんなことをおっしゃらずに…ぜひ、明日も…
お願いします!
僕、待ってます。
僕はあの曲がり角であなたが来て下さるまでずっと待っていますからね!」
ところが、遅い時間のせいか、もう薔薇の花は売り切れていたり、すでに店が閉まっていたりで薔薇の花はみつからなかった…
「あの…本当にもう、けっこうですから…」
「申し訳ありません…
無駄に歩かせてしまいましたね。
なんだか歩き過ぎてお腹がすきませんか?」
そう言いながら、男性はアンヌを近くのレストランに連れていこうとした。
(こんな高いお店、とても入れはしないわ…!)
「あの…私、食事なら家で食べますから…」
「ご家族の方が待ってらっしゃるのですか?」
「いえ、私は独り暮らしですから、そんなことはありませんが…」
「なら、どうかつきあって下さい!
僕も一人なんです。お願いします!」
男性の少し強引とも思える申し出に、アンヌも仕方なく了承してしまった。
いや、少しくらい高く付いた所で、こんな素敵な男性と食事をする機会等めったにないということがわかっていたせいかもしれない。
今までアンヌが入ったこともない高級なレストランで、食べたこともない程素晴らしい料理を味わった。
それよりもアンヌを楽しませてくれたのは、相手の男性そのものだった。
顔をみているだけでもうっとりとしてしまう…
気配りもあり、話もとても楽しい。
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あの…もしよろしければ明日も会っていただけませんか?
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それよりもあんな素晴らしい夕食を御馳走していただいて申し訳ないですわ。」
「いえ、僕はあなたと一緒に食事が出来てとても楽しかったのです。
どうか、そんなことをおっしゃらずに…ぜひ、明日も…
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僕、待ってます。
僕はあの曲がり角であなたが来て下さるまでずっと待っていますからね!」
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