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066. 人形
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(おかしな夢を見てしまったわ…)
馬鹿馬鹿しい夢だとは思いつつ、悪い気はしなかった。
いつもと変わらない一日。
朝、起きて、いつもと同じ仕事をこなし、いつもと同じ時間に職場を離れ、そしていつもの道を通って家路に着く…
(まぁ、綺麗な薔薇…)
そこには花売りの女性がいた。
「お客さん、薔薇はいかがですか?
もうこの3本でおしまいなんでお安くしときますよ!」
薔薇なんて自分には似合わないとずっと思っていたアンヌだったが、安いということもあったのか、今日はなんとなく気が向いて買ってしまった。
花を買うこと自体、とても久しぶりのことだ。
やっぱり花は良い…
見ているだけでも心が和むのに、アンヌの薔薇はとても良い香りまで発してくれている。
些細なことではあったが、薔薇のおかげで良い気分に浸りながら歩いていたアンヌは、曲がり角で男性にぶつかり、その途端、薔薇はアンヌの手を離れさらに男性の大きな靴で踏みつけられてしまった。
「あ…!お花が…!」
「す、すみません…!」
ツイてない…
久しぶりに買った花が、ほんの数分で、こんな無惨な姿になるなんて…
一瞬にして、彼女の気持ちは天国から地獄へ突き落とされたような気がした。
身をかがめ、踏みつけられた薔薇を力なくみつめるアンヌに、突然片手が差しのべられた。
「本当に申し訳ないことをしてしまいました。
ぜひ、弁償させて下さい。」
アンヌが顔をあげると、そこにはアンヌが今までに出会ったことのない程端正な男性の顔があった…
(嘘…!私、夢をみてるのかしら…?)
「これから薔薇の花を探しに行きましょう!」
「えっ?あ…いえ、もう良いんです。」
「それじゃあ、僕の気が済みません。さぁ!」
(おかしな夢を見てしまったわ…)
馬鹿馬鹿しい夢だとは思いつつ、悪い気はしなかった。
いつもと変わらない一日。
朝、起きて、いつもと同じ仕事をこなし、いつもと同じ時間に職場を離れ、そしていつもの道を通って家路に着く…
(まぁ、綺麗な薔薇…)
そこには花売りの女性がいた。
「お客さん、薔薇はいかがですか?
もうこの3本でおしまいなんでお安くしときますよ!」
薔薇なんて自分には似合わないとずっと思っていたアンヌだったが、安いということもあったのか、今日はなんとなく気が向いて買ってしまった。
花を買うこと自体、とても久しぶりのことだ。
やっぱり花は良い…
見ているだけでも心が和むのに、アンヌの薔薇はとても良い香りまで発してくれている。
些細なことではあったが、薔薇のおかげで良い気分に浸りながら歩いていたアンヌは、曲がり角で男性にぶつかり、その途端、薔薇はアンヌの手を離れさらに男性の大きな靴で踏みつけられてしまった。
「あ…!お花が…!」
「す、すみません…!」
ツイてない…
久しぶりに買った花が、ほんの数分で、こんな無惨な姿になるなんて…
一瞬にして、彼女の気持ちは天国から地獄へ突き落とされたような気がした。
身をかがめ、踏みつけられた薔薇を力なくみつめるアンヌに、突然片手が差しのべられた。
「本当に申し訳ないことをしてしまいました。
ぜひ、弁償させて下さい。」
アンヌが顔をあげると、そこにはアンヌが今までに出会ったことのない程端正な男性の顔があった…
(嘘…!私、夢をみてるのかしら…?)
「これから薔薇の花を探しに行きましょう!」
「えっ?あ…いえ、もう良いんです。」
「それじゃあ、僕の気が済みません。さぁ!」
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