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066. 人形
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(あら…?あれは…)
薄暗い店の奥にアンヌはあるものをみつけ、店の扉を開いた。
「いらっしゃい…」
「あ…!あ、どうも…」
後ろから不意に声をかけられ振り向いた先には、老人の光る目があった。
アンヌは、店の奥の椅子に座った人形に吸い寄せられるように近付いていく。
(…なんて、綺麗なお人形さん…)
「あんた、ルネのことが気に入ったのかい?
……良かったな。ルネもあんたのことが気に入ったそうじゃ。」
「ルネ?
この子はルネっていうんですか?」
「そうじゃ…
ルネは『夢を叶える人形』なんじゃよ…」
「夢を…叶える…?
……あの、このお人形を譲っていただけないでしょうか?!」
(ルネ…)
アンヌは信じられない程、安い値段でルネを手に入れた。
(こんなに精巧で綺麗なお人形が、あんなお値段で譲ってもらえるなんて…
今日は運が良かったわ…!)
何度見ても見飽きない…いや、見る度に愛しさが募ってくる。
(ルネ…あなたはなんて可愛らしいのかしら…)
アンヌは、ルネの小さな身体を抱き締めた。
そういえば、あの店の老人は、ルネのことを「夢を叶える人形」だと言っていた…
(でも、どうすれば、良いのかしら?
ルネに向かって祈れば良いの…?)
夢を叶えるなんてことを本気で信じていたわけではなかったが、祈るくらいならやってみても損はないように思えた。
(ルネ…どうか、友達がうらやましがるような素敵でお金持ちの男性と結婚出来ますように…)
フフフフフ…
小さな笑い声が聞こえたような気がして、アンヌはあたりを見回してみたが、何も変わったことはない。
(気のせいね…)
アンヌはルネをベッドサイドの小さなテーブルの上に座らせた。
(おやすみなさい、ルネ…)
薄暗い店の奥にアンヌはあるものをみつけ、店の扉を開いた。
「いらっしゃい…」
「あ…!あ、どうも…」
後ろから不意に声をかけられ振り向いた先には、老人の光る目があった。
アンヌは、店の奥の椅子に座った人形に吸い寄せられるように近付いていく。
(…なんて、綺麗なお人形さん…)
「あんた、ルネのことが気に入ったのかい?
……良かったな。ルネもあんたのことが気に入ったそうじゃ。」
「ルネ?
この子はルネっていうんですか?」
「そうじゃ…
ルネは『夢を叶える人形』なんじゃよ…」
「夢を…叶える…?
……あの、このお人形を譲っていただけないでしょうか?!」
(ルネ…)
アンヌは信じられない程、安い値段でルネを手に入れた。
(こんなに精巧で綺麗なお人形が、あんなお値段で譲ってもらえるなんて…
今日は運が良かったわ…!)
何度見ても見飽きない…いや、見る度に愛しさが募ってくる。
(ルネ…あなたはなんて可愛らしいのかしら…)
アンヌは、ルネの小さな身体を抱き締めた。
そういえば、あの店の老人は、ルネのことを「夢を叶える人形」だと言っていた…
(でも、どうすれば、良いのかしら?
ルネに向かって祈れば良いの…?)
夢を叶えるなんてことを本気で信じていたわけではなかったが、祈るくらいならやってみても損はないように思えた。
(ルネ…どうか、友達がうらやましがるような素敵でお金持ちの男性と結婚出来ますように…)
フフフフフ…
小さな笑い声が聞こえたような気がして、アンヌはあたりを見回してみたが、何も変わったことはない。
(気のせいね…)
アンヌはルネをベッドサイドの小さなテーブルの上に座らせた。
(おやすみなさい、ルネ…)
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