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065. 黄昏
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「ルークさん…?」
「え…?あ、あぁ…あるよ。
実際にあったことがある。
まだ子供の時のことなんだけど……そ、それでだな……俺は大きくなったらまた会おうって小人と約束したんだ。
それで…それからずっと小人の村を探してて…」
頭の中ではまだ迷ってた筈なのに、開かれた俺の口はそんな嘘を吐いていた。
「す…すごい!
ルークさん、すごいじゃないですか!
小人とそんなにお親しいだなんて…」
震える声でそう言ったランスロットの瞳は潤み、きらきらと輝いていた。
「い、いや、別に親しいってわけじゃないんだけどな…」
「そんなことありません!
再会を約束するなんて、友情の証に他なりませんよ!
小人にそこまで信用されるなんて…本当にすごいです。
ルークさんのご人徳ですよ!」
ランスロットの頬はほんのりと色付き、心底、俺の話を信じて感動してるようだった。
そんな奴を見ていると、さすがに俺の心も痛んだが、今のは嘘だ…と、正直に言う勇気もなく、俺はへらへらと笑ってその場を誤魔化した。
「ルークさん…一つお願いがあるのですが…」
「なんだ?」
「小人の村に着いたら、ぜひ、あなたからも私の方向音痴を直してくれるよう、小人に頼んでほしいのです。」
ランスロットは両手を組み、すがるような瞳を俺に向けた。
「え…あ、あぁ…そんなことならお安いご用だが…
で、でも、俺の知り合いの小人がそこにいるかどうかはわからないから、役に立てるかどうかもわからないぜ。
ま、一応は俺からも頼んでやるよ。
さ、そんなことはともかく、とにかくマザークロスへ急ごう!」
そう言って、俺は再び愛想笑いを浮かべると、奴に背を向けて歩き始めた。
「え…?あ、あぁ…あるよ。
実際にあったことがある。
まだ子供の時のことなんだけど……そ、それでだな……俺は大きくなったらまた会おうって小人と約束したんだ。
それで…それからずっと小人の村を探してて…」
頭の中ではまだ迷ってた筈なのに、開かれた俺の口はそんな嘘を吐いていた。
「す…すごい!
ルークさん、すごいじゃないですか!
小人とそんなにお親しいだなんて…」
震える声でそう言ったランスロットの瞳は潤み、きらきらと輝いていた。
「い、いや、別に親しいってわけじゃないんだけどな…」
「そんなことありません!
再会を約束するなんて、友情の証に他なりませんよ!
小人にそこまで信用されるなんて…本当にすごいです。
ルークさんのご人徳ですよ!」
ランスロットの頬はほんのりと色付き、心底、俺の話を信じて感動してるようだった。
そんな奴を見ていると、さすがに俺の心も痛んだが、今のは嘘だ…と、正直に言う勇気もなく、俺はへらへらと笑ってその場を誤魔化した。
「ルークさん…一つお願いがあるのですが…」
「なんだ?」
「小人の村に着いたら、ぜひ、あなたからも私の方向音痴を直してくれるよう、小人に頼んでほしいのです。」
ランスロットは両手を組み、すがるような瞳を俺に向けた。
「え…あ、あぁ…そんなことならお安いご用だが…
で、でも、俺の知り合いの小人がそこにいるかどうかはわからないから、役に立てるかどうかもわからないぜ。
ま、一応は俺からも頼んでやるよ。
さ、そんなことはともかく、とにかくマザークロスへ急ごう!」
そう言って、俺は再び愛想笑いを浮かべると、奴に背を向けて歩き始めた。
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